早生まれかどうかより他の要素が大きい
安浪:私は教え子の生まれ月は全く気にしていないです。たとえ4月に生まれたって幼い子は幼いし。何月に生まれようとできる子はできるし、そうでない子もいます。私から何月生まれかは確認したことはありませんが、親御さんから「うちは早生まれなんです」と言われることは時々ありますね。でも、早生まれかどうかよりその他の要素のほうがよっぽど大きいです。

矢萩:実際の有利不利に関しては、年々差は縮まるものの、4年生くらいまでは、知力の面では抽象的な思考力に多少差が出るというか、やっぱり早生まれの子の方がピンとくるのが若干遅いかな、という印象はあります。あとは体力面。早生まれでも体が大きい子は全く遜色ないですが、元々小さい子だとやはり差が気になることはあります。
安浪:早生まれの親御さんのなかには、早生まれを言い訳にしようとする傾向がありますけれど、先ほども言ったように中学受験ってそれ以外の要素のほうがすごく大きいです。早生まれに限らず、最近は発達特性に関しても、「うちの子、なんとなくグレーっぽいから〇〇なんでしょうか」という言い方をされる親御さんが多いですが、究極のところ、個人個人で全部違うんだから、いろいろ言い訳にしないマインドを持つほうが大事かな、と思います。
矢萩:結局、この時期の子どもたちってどんな子でも日々成長しているので、一番揃ってくるというか、できるようになるのが受験直前とか受験当日なわけです。だからギリギリまで待ってあげたらいいんじゃないかなという気もします。
安浪:そこまで待てない、というなら中学受験はしないで、成長の度合いが一番揃ってくる高校受験を目指す手だってありますよね。
矢萩:成長スピードの差が小さい、という面ではそれは一番フェアだと思います。
安浪:あとこのお母様は「自立に向けて伴走したい」と書かれていますが、きっと4年生ぐらいになればもっと自分でやるのではないか、と思っていらっしゃるのかな。でも、早生まれだろうとなかろうと、4年生どころか6年生でも自分でできない子はたくさんいます。もう、ほとんどそうじゃないかな、って思うくらい。中学生ですら保護者会で「1年生のうちは宿題ができているかどうか親御さんが一緒に確認してあげてください」と言われますから。
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