「早生まれだから仕方ない」という言葉には、こういったプラスとマイナスの側面があることを理解しておきましょう。
中学受験は「脳トレ」ととらえる
実際には、早生まれのお子さんは、人より早い段階で脳への刺激を受けることで、「可塑性」(脳に備わっている「思い通りに脳自体をつくることができる・変化させることができる」という性質のこと)を高めているといえます。脳が若い段階で難しい問題にチャレンジし、脳を鍛えているのです。すぐに結果は出なくても、お子さんの脳は中学受験の勉強を通じて、その能力を高めています。このことは間違いありません。
私の知り合いの早生まれのお子さんは、中学受験では第1志望に合格できず、公立中学に進みました。高校受験では、推薦で国立の高等専門学校(高専)へ進学。その後、国立大学の工学部へ編入しました。お母さんはこんなことをいっていました。
「中学受験に失敗したときには落ち込みましたが、もし合格していたら、高専という道につながることはありませんでした。大学受験をせず、5年間ロボットづくりに没頭していましたし、結果として大学でも研究を続けられることになりました。中学受験の勉強は、推薦をもらえるだけの学力をつけてくれたので、無駄ではありませんでしたし、結果的には中学受験の不合格によって、その後の進路が開けたのです」
不利だからといって、このお子さんが中学受験を諦めていたら、その後の進路はもしかすると変わっていたかもしれません。中学受験での努力が、その後の結果につながったことは間違いありません。
「親子で一緒に学ぶ」が正解
早生まれのお子さんの中学受験に親子で取り組むことは、とても良いことだと思います。もちろん、中学受験ではなくても、どんな段階でも親子で勉強に取り組んだ方が良いのですが、ここでは特に中学受験に対しての効果の一例を述べたいと思います。これは、私自身の実体験でもあります。
決して子どもの成績を管理するとか、勉強を上から目線で教えるという話ではありません。親御さんが、お子さんと同じように横に並んで対等な立場で問題を解くのです。私も2年半、息子の中学受験にフルで伴走しました。最初は自分の興味もありましたが、だんだんその奥深さに惹かれたということもありました。
次のページへ一番のメリットは?