早生まれのお子さんの学業、特に受験に関心を持たれている方も多いと思います。中学受験では不利とされるデータもある早生まれですが、高校受験では「早生まれ族が結果を残している学校もある」と脳医学者の瀧靖之さんは言います。また、算数・数学における早生まれと遅生まれの学業成績分布がわかる興味深いデータも。瀧さんの著書『本当はすごい早生まれ』(飛鳥新社)から紹介します。※別記事<中学受験で「早生まれ」の子の能力を伸ばすキーは自己肯定感 親にすすめる受験勉強への関わり方を脳医学者が解説>から続く
【表】学力の高い家庭がやっている生活習慣はこちら早生まれの子どもの受験が心配になってきた、という親御さんもいるかもしれません。特に幼さが残る男の子を育てている親御さんは、そうだと思います。
しかし、いいデータもあります。川口大司教授の報告の中には、算数・数学では、特に男子の成績上位者において、差がつきにくいということが示されています。



生まれ)のグループの算数・数学スコアについてのカーネル分布を示す。
(出所)川口大司、森啓明(2007)より抜粋
グラフを確認すると、確かに点数が上位になる程、実線の早生まれ(2月下旬〜4月1日生まれ)と、波線の遅生まれ(4月2日〜5月上旬生まれ)の差がなくなっています。算数・数学が得意な男子は、その優位性を維持していることがわかります。中学生男子においては、二つの山は、成績上位者のところで重なっています。高校生になる頃には、二つの山はほぼ全ての成績帯において重なりを見せています。
女子においても、小学生の頃に大きくずれていた二つの山は、高校生の頃にはずいぶんと重なるようになります。特に、成績上位層での重なりが見られます。
中高一貫校入学者の生まれ月
東京大学に多数の合格者を出す男子校Aの中学合格者は、「遅生まれ・春」を「1」としたとき、「早生まれ」の割合は0.1でした。
遅生まれ・春 1
遅生まれ・夏 1.6
遅生まれ・冬 0.8
早生まれ 0.1
この学年の高校入学者を追ってみると、違った景色が見えてきたのです。
この学校に高校から入学した生徒(12人)を、同じように「遅生まれ・春」を1として割合を出してみました(小数点第2位以下を四捨五入)。括弧の数字は、中学入学者における数字です。人数が非常に少ないので、あくまでも参考値としてご覧下さい。
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