安浪:まあ、毎週毎週テストがあって、それでクラス分けがあったりすると親もこういう思考になってしまうのはわからなくもないですけどね。
点数にばかりこだわるようになる理由
矢萩:つまり構造の問題なんですよ。毎週のようにテストがあって評価されるシステムの中で、可視化されているのはカリキュラムと点数だけです。性格や発達や努力や思いは見えないまま流されてしまう。見えるもののほうが比較しやすい分、重要視されてしまう。そんな構造の集団の中に2年も3年もいるわけですから、必要以上に点数にばかりこだわるようになってしまうのも無理はありません。
安浪:親としては娘を変えたい、でも変わらない、言っても響かない。だとしたら親が変わるしかないですね。まずは先ほど矢萩さんがおっしゃったようにお嬢さんができているところを認める。あとは今、たぶん親が先回りしすぎてるんだと思います。お嬢さんが塾から帰ってきたら真っ先にテストを確認して、「あと1問できていたら〇点取れていたのに!」とか言っちゃう。本人が返ってきた答案を見て悔しいと思わないうちに、大人が先回りしちゃうと子どもは「1問できなくて悔しい」という気持ちが腹落ちしなくなっちゃうと思うんです。
矢萩:もし1点足りなくて、上のクラスに行けなかったとしたら、まずは「ほとんど上のクラスに行けるぐらい取れているんだからすごいじゃん」って認めてあげるべきだと思います。あなたはもう上のクラスにいける資格があるぐらいにはなっているよ、と。でも細かく見たときに、やっぱり人数の制限があったりして、1点とか2点とで行けたり行けなかったりするっていう現実もある。それをもったいないと思うのかよしとするのかはあなた次第だよね、みたいな感じの話をしてみるとか。自分でそれを受け入れるのかもったいないと思うののかは結構重要だと思っていて、子どもの主体性を引き上げる親の関わりがが大事だと思います。何かやらされる感じではなくて自分からそうしたいなって思うような声かけをしてほしいですね。
(構成/教育エディター・江口祐子)