「昨年から、入学試験の受験者平均点や各教科の平均点、合格者平均点などを開示したことが大きい。特に合格最低点はインパクトがありました。各教科の平均点が極めて妥当な点数に落ちついていることがわかり、受験生が安心して受けやすくなったことが影響しています。過去問を家で解いたときの得点の目安がわかったことが大きいです」

 さらに最近は広報活動もさかんになり、学校の魅力が伝わるようになったことも大きいという。

 24年度の開校当初から大勢の志願者を集めた埼玉の開智所沢(所沢市)は、今年も7068人から1万6574人に増加した。ただし開智学園では姉妹校への同時出願が認められており、各校の志願者が複数カウントされて、数値がかさ増しされた影響もある。

英語入試のニューウェーブ

 25年度入試で注目されたのが、豊島岡女子学園(豊島区)の「算数・英語資格入試」だ。英語入試を行うのは中堅校が多かっただけに、難関の同校が行ったことで受験生の動きに注目が集まった。算数の得点を200点とし、英語検定取得級による「みなし得点」を加えた300点満点で判定する。受験生の多くが、2級から準2級の資格で臨んだようだ。同入試の志願者は286人で、192人が受験、合格者数は「若干名」とされていたが、32人が合格した。豊島岡女子学園の総志願者数も、同試験の志願者が上乗せされ、2516人から2751人に増加した。

 この結果について、森上教育研究所アソシエイトの高橋真実さんは次のように話している。

「学校としても、どのぐらいの受験生が受けてくれるか様子を見ながらの『若干名』という定員だったのでしょうが、予想以上の志願者だったのではないでしょうか。英語入試は受験生の負荷に対する懸念もあって回数は横ばいですが、受験者は増加傾向にあります。豊島岡女子学園クラスで、あれだけの出願があったので、来年以降は他校の動きが注目されます」

 さらに高橋さんは、「英語入試の変化は、海外大学進学志向の影響がある」と言う。

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