首都圏全体では相変わらず高い受験率を維持している中学入試ですが、地域によっては温度差も生じています。2025年度は埼玉が志願者数を大きく伸ばした半面、神奈川では前年よりも減少しました。中学入試の専門家に、その背景などを聞きました。

MENU 淑徳与野が医進コース新設で人気上昇 神奈川は首都圏で唯一減少  千葉は難易度が上がり過ぎた渋幕が敬遠され減少 東京のグローバル系の学校は堅調な人気 多様な入試が中学受験の門戸を広げる

淑徳与野が医進コース新設で人気上昇

 首都圏模試センターの調査によると、埼玉の私立中高一貫校の受験者数は2024年度の5万5640人に比べて6万6539人と大きく伸びた。今年から1月10、11日両日の併願が可能となった栄東(さいたま市)は1万4016人から1万4423人と増加し、相変わらず大勢の志願者を集めた。昨年度に続き志願者を集めた開智所沢、開智も牽引した。

 注目は淑徳与野(さいたま市)で、2479人から3022人と大幅に増加。その理由を首都圏模試センター取締役・教育研究所長の北一成さんは「埼玉は、医学部進学に熱心なエリア。昨年から医学部、薬学部や難関理系学部を目指す医進コースを設けたことが好感を呼んだ」と、話す。1月10日の午後に「医進コース特別入試」を設けたことで、午前入試の栄東や開智などの他校との併願が容易になったことも影響している。

 ここ数年伸長していた大宮開成(さいたま市)は、難易度が上がって敬遠されたためか、4878人から4123人と大幅に減少した。

神奈川は首都圏で唯一減少 

 神奈川は25年度受験者総数が3万4756人と、昨年の3万5876人に届かず、首都圏で唯一減少に転じた。特に女子校の落ち込みが目立った。女子校トップの洗足学園(川崎市)は、難化して敬遠され1548人から1321人に減少。神奈川女子御三家と呼ばれているフェリス女学院(横浜市)も431人から415人に、横浜雙葉(横浜市)は528人から524人に、横浜共立学園(横浜市)は663人から634人に減少した。

「神奈川は昨年、ミッションスクールの女子校がこぞって志願者を増やしたので、その反動が出てしまった面もある」(北さん)

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柿崎明子
ライター 柿崎明子
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