2025年度の首都圏中学受験者数は、ほぼ前年並みの高い水準を維持しました。難関校の志願者数は減少したところが多く、中堅以下の学校は増加しています。中学受験の専門家に、その理由などを聞きました。

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男女ともに「御三家」がすべて減少したのはなぜ?

 首都圏模試センター調べによると、2025年度の首都圏の私立・国立中学受験者数は5万2300人で、前年から100人ほど微減。受験率は18.10%と、前年に続き18%台を維持した。首都圏模試センターが三十数年前に受験者数の調査を開始して以来、2番目に高い受験率だった。首都圏模試センター取締役・教育研究所長の北一成さんは、25年度入試の特徴を次のように話す。

「難関校が減って、中堅以下の学校の志願者が増加しました。東京の男女御三家の志願者は、すべて昨年よりも減少しています」

 男子御三家の開成(荒川区)は24年度の1259人から1234人、以下麻布(港区)は826人から761人、武蔵(練馬区)は546人から518人に減少。女子御三家の桜蔭(文京区)は591人から542人、女子学院(千代田区)は708人から706人、雙葉(千代田区)は399人から389人に減少した。その理由を、安田教育研究所代表の安田理さんは、次のように話す。

「単なるチャレンジ志向の弱まりではなく、学校選択が多様化しているのだと思います。たとえて言えば、子どもの将来像として『難関大学から大企業』が太い幹だったものが、何本にも枝分かれしているということです。将来を見据えてデジタル社会やグローバル社会を生き抜いていける力をつけさせたいと考える保護者が増えていて、従来型の教育ではない、次の時代を意識した新しい教育を行っている学校へシフトしているのではないでしょうか」

慶應義塾普通部は点数の開示で受験生増加

 東京の最難関校の多くが志願者数を減少させるなか、神奈川の難関男子校は増加した学校もある。なかでも注目は慶応義塾普通部(横浜市)だ。569人から675人と、大幅に志願者を増やした。その理由を、SAPIX教育事業本部長の広野雅明さんは次のように話す。

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柿崎明子
ライター 柿崎明子
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