――作曲のインスピレーションはどこから?

 はじめにタイトルを考えて、そこからインスピレーションを得ることもあれば、練習で「なんかいま弾いたフレーズいいな」と思ったメロディーを録音したり楽譜に起こしたりして取っておいて、あとで曲に使うこともあります。

 母がジャズボーカリストで、父がロックのボーカリストなので、2人が聴く音楽がそれぞれ違うんです。私が書く曲は、わりと現代的なジャズで、ロックをはじめいろいろなジャンルの要素がミックスされたもの。たぶん両親が幅広い音楽に触れさせてくれたおかげだと思います。

 それから、いま通っているバークリーの授業では、映画の中のワンシーンに合わせて「このコードだけを使って作曲して」という授業もあります。これがすっごく楽しくて! 限られたコードしか使えない、という縛りがあると、逆にもっと想像力が広がるんです。この“縛り”もいいインスピレーションになっていると思います。

バークリーのサマープログラムに行ってみたら?と勧められ

――バークリー音楽大学を目指し始めたきっかけを教えてください。

 小学3年生のときに新型コロナの影響で休校が続いて、家にこもってピアノの練習をする時間が増え、気がついたら結構上達していたんです。コロナ禍が収束し、普段の生活が戻ってきたときに、「もっとピアノを本格的にやりたい!」と思って。もともと通っていた学校には戻らずに、音楽の専門学校の初等部に通うことにしました。

 その専門学校に、バークリー出身の先生がいたんです。その先生に「そんなに弾けるんだったら、もうバークリー行けるんじゃない? とりあえずサマープログラムに行ってみたら?」と勧められ、2022年の夏にバークリーで行われた5日間のサマープログラムに参加しました。

 そこでの学びが素晴らしくて、本当に充実した5日間だったんです。出会った教授たちも「ぜひうちにおいでよ」と歓迎してくれて。でも、受験のためには高校卒業の資格が必要です。日本には飛び級はないので、日本にいながらアメリカの高卒資格が取れる学校を探し、卒業のために猛勉強を始めました。

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