ライブのように盛り上がった入学試験

――10歳から高卒の勉強を! どのように勉強したんですか。

 お母さんは、いまはピアノに集中して、勉強してバークリーに入るのはもう少し後でもいいんじゃない? という考えでした。でも、私はとにかく早く行きたい、と。そこからはピアノを弾く時間はぐっと減らして1日0〜1時間くらいにし、毎日12時間を勉強にあてることにしたんです。

 英語は、入学に必要なTOEFLのスコアを満たすため、中学・高校の文法書やTOEFLの過去問を繰り返し解きました。大変だったのは、新しい英単語を見て、日本語の意味を辞書で調べても、その出てきた日本語の意味もわからないということが結構あったこと。日本ではインターナショナルスクールに通っていたので、そのたびに今度は日本語の辞書を引いて、理解して……という具合で、何度もそれを繰り返し、本当に大変でしたが、結果的に日本語の勉強にもなりました(笑)。

 数学は、獣医だったおじいちゃんにオンラインで教えてもらいました。優しく、根気よく教えてくれて、中学、高校の数学も少しずつ身につけることができました。2年間の勉強の末、ようやく高校卒業資格を手にしました。

――バークリーの入学試験はどのようなものだったんですか?

 来日した試験官の方々を前に、実技試験を受けました。先生が弾いたコードやリズムを再現する“イヤートレーニング”のテストや、初見の譜読みのテストなどがありました。印象に残っているのは、自由曲の課題。私がピアノを弾き始めたら、試験官の先生方がもうライブですか?っていうくらい、めちゃくちゃ盛り上がってくれたんです。

「いいね、それ誰の曲?」と聞かれて「自分で作ったオリジナルです」と答えたら、「本当に!? ちょっとご両親を呼んできてよ」と。やってきた両親を前に「おめでとう! 彼女の演奏は素晴らしいから、入学をサポートするよ」って言ってくれて。合否結果がまだ出る前から「秋に会うのを楽しみにしています」なんてメールが来たりして。なので、実際の合格通知が届いたときは、もちろんうれしかったんですが、ちょっとだけ「やっぱりな」という気持ちでした(笑)。

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