「求められるのは、最後まであきらめずに工夫する姿勢があるか。親から『できる・できない』だけで評価されてきた子どもの中には、褒められたい一心で、入試本番でカンニングなどの不正行為に走ってしまう子もいます。日頃の親の関わり方が、非常に大事になります」。最近は「作りこまれたロボットのような子ども」ではなく、生活の中で五感を育み、自分の考えを生き生きと話せる子どもが評価される傾向が強まっているという。
親自身が“体験好き”な家庭は小学校受験向き
小学校受験が“親の受験”とも言われるのは、家庭の生活習慣や親の言葉がけといった子育てそのものが、合否のカギを握るからこそ。
「子どもの学力に合った学校を選びたいと考える家庭は、学校の選択肢が多く、学力テストの出来で合否が決まる中学受験のほうが向いているでしょう」(大原さん)
「わが家は小学校受験に向いているか」という適性を見極めるには、受験専門の幼児教室を体験してみるのも手だが、大原さんは、第一の条件として「親自身が“体験”好きで楽しいと思えるか」をあげる。
「小学校受験の醍醐味は、学力以外の力で勝負できることです。QRコードにスマホをかざすと動画が飛び出す図鑑があるなど、今はスマホひとつでなんでも調べることができるので、子どもの感動力が弱まっています。子どもと感動をともなう“実体験”を楽しめる親は、小学校受験向きだと思います」
たとえば小学校入試では、季節行事や日常生活に関する問題がよく出題される。田植え体験やタケノコ掘りを通じて、四季を学んだり、食ベ物のありがたさを感じたり。皿洗いや、雑巾がけなどのお手伝いを通して、手先の器用さや自活力を鍛えたり。いかに親の「手間」と「時間」を子どもの“実体験”に費やせるかが、肝のようだ。
「受験のためにと“やらされ感”があると、親も子も成長につながりません」(大原さん)
2児の母でもある大原さん自身は、子どもが生まれてすぐ小学校受験塾を起業したため、わが子のお受験に向き合う余裕がなく、中学受験を選択したという。
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