そして、「普通」って言葉は時代や場所が変わると定義が変わる言葉でもあるよね。子育てでは、少し前まではお母さんひとりでするのが当たり前だと考えられていたけど、いまはお父さんもするのが普通だよね。運動部でも、水を飲んではいけないといわれていたのが、熱中症になるから水は飲みましょう、と変化した。
場所でも「普通」は変わるはず。よしおの奥さんの友だちの地域は、飲み会があったら男性が女性を家まで送り届けるのが普通だったんだって。でも、そういうことをしない地域もあるよね。
そう考えると、「普通」っていうのはその場での「多数派」のことを言うのかな、って考えた。そうしたら、「普通じゃない」って言われる人は少数派ということになるよね。少数派だと、やっぱり親御さんが言うように「そんな考え方する人はいません!」みたいなことを言われてしまうことがあると思う。だけどそう言われるのって、なかなかつらい。だからといって、周りと違うからという理由で自分の意見を曲げるのも違うよね。
自分意見と周りの意見の間を考える
じゃあ、まずは周りにどう理解してもらおうかというのを考えたいな、って思った。「理解されなくてもいい!」っていう人もいると思うけど、はーちゃんが自分を出すのが怖くなってしまっているなら、自分の意見を曲げずに伝え方を変える方法があるんじゃないかな、って思うんだ。
たとえばメジャーリーガーの大谷翔平選手は、ピッチャーもバッターもやる二刀流で有名だよね。だけど、一昔前まで、プロ野球の世界で二刀流の人はいなかったんだ。高校生くらいまではいても、さすがにプロでは無理、さらにメジャーリーグでなんか絶対に無理だよ、と言われていた。
でも大谷選手は、まずは日本で二刀流がプロでもできることを証明し、いまでは世界で大活躍している。いきなり世界に行くのではなく、日本から証明したのがとてもいいステップになったんだろうな、って思う。
これを、何かヒントにできないかな、って思ったんだ。いきなりはーちゃんがBの考え方を誰かに伝えて伝わるのは難しくても、AとBの間のステップを探れないのかな、って。親御さんがいう「10人」にも、考え方の濃淡がそれぞれあるはず。
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