――今のお仕事につながったきっかけは、アナウンサー時代に花を飾り始めたことがきっかけだったそうですね。

 そうなんです。スーパーのレジ横に売っているような花をなんとなく飾ったことがきっかけでした。当時、仕事で疲れきって帰ってきても、飾っていた花が咲いたというだけですごく元気がもらえたんです。「あ、花があると生活がこんなに違うんだ」と驚いたことが、花の道に進むきっかけでした。

退職3カ月後でアナウンサー時代とはまるで別人の力仕事

――アナウンサー時代の自分と今の自分を比較すると違いを感じますか。

 全然違いますね。別人かなってくらいに(笑)。前職のときは自分の気持ちがわからなくなるほど受動的な人間でした。もちろん、与えられた仕事を精いっぱいこなすことへのやりがいはありましたが、大きな会社で10年間アナウンサーとして研鑽(けんさん)を重ねていく過程で、社会の期待に応えようという思いが強くなっていきました。みんなと同じ目標を目指して、「これをかなえられたらきっと私も幸せだ」と、社会軸で物事を考える習慣が染み込んでいたんですよね。

 でもやりたいことを見つけて転職をしてからは、自分軸で考えるようになりました。「一般的に考えたらこうだけど、自分はどうしたいかな」と、自分はどうなの?というところが大事に考えられるようになりました。自分が決めたことなら失敗してもなんだか心地いい。「誰かがこう言ったから」ではなく、自分が感じたことをもとに自分の人生を歩んでいくと、何でもしっくりくる感じがするんです。

――退社後にイギリスに留学されましたが、その影響も大きかったのでしょうか。

 そうですね。コッツウォルズという田舎でガーデニングのインターンを経験しました。それがすごく重労働で。毎日汗だくになりながら、すっぴんで力仕事をしていました。

 つい3カ月前まではテレビ局で衣装を着て、ヘアメイクさんに髪をセットしてもらい、ネイルもすごくきれいにしてテレビの前で笑っていたというのに(笑)。イギリスでいきなり力仕事に就いて、汗を拭けば顔に泥がつく。全部の爪には土が入っている。そんな状況になったんです。

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