でもそのとき、「今のほうが楽しい! 今のほうが自分らしいな」って思えたんです。社会軸じゃなくて、自分軸に変えていったほうが私はきっと幸せに生きられる。自分の幸せは何かということをしっかり考えて生きていこう、と気づけたのがイギリスでの体験でした。
あれから10年が経ちますが、アナウンサー時代と比べて、服装ひとつとっても選ぶものが変わったなと改めて思います。今は自分が着たいものを着ていますが、当時の私は「これを着ていれば変に思われないかな」「これならアナウンサーらしいかな」と人からの目を気にして選んでいました。今のほうが自分らしさを表現できる装いを選べていると思います。
人生を再設計したことで自分らしい彩り豊かな毎日に
――帰国後、生花店で勤務したのちに起業されるわけですが、第1子の出産後、育児でもっとも大変なときに起業されたのはなぜですか。
1人目を妊娠したとき、周りを見渡しても産休と育休を取る友人が大多数でした。「育児はすごく大変だから、いったん足を止めてみたら?」と心配する友人もいました。でもそのとき、自分で進んだ花のお仕事という道がすごく楽しくて、少しでも足を止めたくない、少しでもお花に触れていたい、というのが正直な感覚だったんです。育児しながらもなんとか工夫すれば花の仕事がやれるんじゃないか、と思い起業しました。起業したことにより、育児と仕事のバランスが調整しやすくなりました。
一般的に「子育て=大変」というイメージがありますけど、実際の乳幼児育児は楽しいこともたくさんありました。人から言われたことを鵜呑みにして「大変らしいからやめておこう」と決めるのではなく、自分で体験して工夫と改善をしながら自分らしく人生を進めることは大事だな、と改めて感じます。あのとき完全に歩みを止めず、少しずつでも進んでこられたことが、自分の中でも大きな自信になりました。
――「自分」をつい後回しにしがちな子育て世代の読者に、ぜひエールをお願いします。
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