キー局のアナウンサー卒業から10年が経ち、フローリストとして人生を歩む前田有紀さん。現在は鎌倉で7歳と4歳の男の子を育てながら暮らしています。どんなに忙しくても「ただ海を眺める時間を持つようにしている」と、自分と向き合う時間を大切にしています。アナウンサー時代の自分と今の自分はどう変わったのか、自然体に生きる40代の「今」に迫ります。※前編〈前田有紀・元アナが語る、鎌倉での子育て 「家族旅行では夫婦で真剣に議論しテーマから決めています」〉から続く

MENU 忙しいときほど海を見に行って深呼吸 退職3カ月後でアナウンサー時代とはまるで別人の力仕事 人生を再設計したことで自分らしい彩り豊かな毎日に

忙しいときほど海を見に行って深呼吸

――フローリストに転身して10年が経ちました。仕事と子育てはどのように両立していますか。

 仕事と子育ての両立、本当に悩ましいですよね。私の場合、仕事も子育てもたくさん抱え込んでどちらも苦しい、となるのではなくて、どちらも周りを頼りながら生きている感じでしょうか。仕事では「子どもの用事で出なきゃいけないのであとはお願いします」と頼める環境にしていますし、家事も全部自分でやらなくちゃって思わずに、夫と半々でシェアしています。お世話になっている人に作ってもらったごはんを食べることもあります。近所の人に子どものお迎えをお願いする日もありますよ。自分だけで解決しようとせず、ちょっと声を上げれば楽になれることって意外とあるんですよね。

 自分の母親世代の「100%子育てに力を注ぐ母親」の理想像を思い描いた時期もありましたが、今の私とは違うなって割り切って子育てしています。理想を追うのではなく、自分が心地よくいられるバランスをいつも考えるようにしています。

 私はすごく好きなことを仕事にしているのでつらくなることはないですが、スケジュールが過密になったり、やるべきことが重なってしまったりすると、心にゆとりがなくなってしまいます。そういったときは、あえて自分の時間を持つようにしています。

 海のそばで暮らしているので、よく海を見に行きます。「10分でもいいから海を見に行って深呼吸しよう」というふうに。花もそうですが、自然は人間の世界とは時間の流れ方が違うんです。ゆったり流れる自然の時間に身を置くことで、あわただしい気持ちを落ち着かせるようにしています。海に行けないときは、花を一輪飾るだけでも元気がもらえますね。

お花を飾る前田有紀さん(提供)
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大楽眞衣子
大楽眞衣子

ライター。全国紙記者を経てフリーランスに。地方で男子3人を育てながら培った保護者目線で、子育て、教育、女性の生き方をテーマに『AERA』など複数の媒体で執筆。共著に『知っておきたい超スマート社会を生き抜くための教育トレンド 親と子のギャップをうめる』(笠間書院、宮本さおり編著)がある。静岡県在住。

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