きっかけは教員仲間からの「テレビが見やすいよ」

 でも、教師になって22年目、初めて教師用の机を〝教室前方の廊下側″に置いてみました。

 そこに置いたきっかけは、同い年の先生友だちから、「テレビが見やすいよ」と教わったから。私が勤めてきた学校の多くは、大型テレビが教室前方の窓側にありました。授業中デジタル教科書を提示したり、動画教材を映したりするためのものです。教師用の机と大型テレビが近すぎると、教師からは見にくく子どもからも、教師の頭と大型テレビのモニターが重なってしまって見にくいことがあります。

「教室前方の廊下側に教師用の机を置いた方が、テレビが見やすいよ」という先生友だちからの言葉で、試しに自分の机を移動してみました。すると、確かにテレビが見やすい! そして、それ以上のメリットがあったのです。

①朝、登校してきた子どもたちとあいさつしやすくなった                 

 朝、子どもたちが登校してくる時間帯、担任の先生は教師用の机で連絡帳などを処理していることが多いです。その作業をしながら、次々と登校してくる子どもたち一人ひとりと、「おはようございます!」とあいさつをします。

 窓側に机があると、教室の入り口と約7m離れるため、あいさつの声を届けるためには大きな声を出さないといけません。恥ずかしがり屋の子どもや、面倒くさがり屋の子ども、寝不足などで体調不良の子どもにとって、7m先の担任にあいさつをするのはハードルが高いです。結果、あいさつしてくれないことも。さらに、教室の奥にいる担任の存在に気づかない子どももいます。そんなとき、私はついイラッとして、「ちゃんと、あいさつしよう!」と、声を荒らげてしまったことがあるのです。

 でも、教室のドア近くに担任がいると、子どももすぐ私の存在に気づいてあいさつしてくれるようになりました。お互いの距離が近いので目も合いやすく、ちょっとした雑談もしやすいのです。

②廊下を猛ダッシュする子どもが減った

 廊下にいる子どもが、担任の存在を強く意識するようになったからでしょう。休み時間、担任は自分の机で、子どもたちのノートを見たり、提出物の処理をしたり、次の授業の準備をしたりすることが多いため、廊下側に先生がいつもいる状況になるのです。廊下の猛ダッシュが減り、休み時間のケガやトラブルが減ることにつながりました。

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