子どもは日本語で話したいんですよ
「アドバイスは難しいです。だってそれは、本人ではなく親の望みですから。子どもは絶対に、話し慣れた言葉で話したいはず。それでも英語を話してほしいなら、親はわが子にどうなってほしいかを深く考える必要があります。英語を使う職業についてほしいのか、英語で思考できる子にしたいのか、おしゃべりできるレベルでいいのか」
それを考えたうえで、どこで英語を学ばせるか選択するのがいいと岡本さんは話す。
「日本の小学校に入れば、英語はどうしても『勉強』になります。そのぶん語彙力やライティング能力は高くなりますが、英語で考えたり発音したりする力は身につきにくいかもしれません」
インターナショナルスクールならば、授業はすべて英語となる。
「話す力、聞く力は高まりますが、家に帰ると日本語ですよね。両方を取り入れることができる半面、どっちつかずになる可能性もあります」
留学すれば英語力だけでなく、国際的な感覚を身につけられるが、アイデンティティーで悩むこともあるという。
「海外ではもちろん、帰国後も『圭人は外国人だからなぁ』みたいにカテゴライズされることがあるので、その覚悟は必要かなぁ」
考えながら、言葉を選びながら、岡本さんは話す。たくさんのものを乗り越えてきた人だから話せる言葉だ。
「ぼくだったら? できるだけ子どもが自分で決められるようにしたいですね。親が英語で話す姿を見せて『かっこいい』と思ってもらったり、英語の歌をいっしょに聴いて意味を説明したり。海外旅行もいいですよね。でも、歴史や科学も同じように体験させて、『あなたは何を学びたいの?』と提案できたらいいなぁと思います。うちの親とは真逆ってことかな(笑)」
もがき迷いながら英語を自分の力にした岡本圭人さんの、20年後の答えだった。
(文/神 素子)
※AERA English特別号『英語に強くなる小学校選び2023』より
朝日新聞出版