8ポイントならひっくり返る可能性は十分ある

矢萩:偏差値って指標の一つとしては使えるものではあるんですが、こだわりすぎないほうがいいです。もし、偏差値10も上だから受けません、となったら大金星の可能性も無くなるし、逆に偏差値が足りているのに合格しなかったとなった時には、必要以上に挫折感を味わったりします。実際はその子が持っている偏差値より上の学校に受かったり、下の学校に落ちたり、ということは毎年多く起こっています。それはやはり問題との相性だったり、その日のコンディションだったりいろいろ絡み合ってくるわけなので。ご相談者さんの8ポイントぐらいだったらひっくり返る可能性は十分にあります。

安浪:模試の結果って乱高下するじゃないですか。この偏差値が8届かない、というのも今までの模試のなかで悪いときなのか、直近なのかによっても違ってきます。そしてやはり最終的には過去問を解いてみて、食い込めそうなのか、難しそうなのか、によると思います。もちろん、最初はみんな解けないものなので、すぐにはわかりませんが。

矢萩:そうですね。もちろん過去問をやってみて、意外にできるな、ってなるかもしれないし、模試よりも歯が立たないかもしれない。そもそも問題が何を聞かれているのかもわからないようならちょっと考え直したほうがいいと思います。何を言っているのかわからない問題を出す学校に頑張って入学したとしても、それを作った先生たちが6年間いるわけですから、そう考えるとあまり幸せになれなさそうですよね。やっぱり過去問をやってみた手応えでキャッチアップするといいのかなと思います。

安浪:わかりやすい例を挙げると、麻布ですね。麻布は御三家と言われていますが、6年生から受験を始めた子でも、点数を取れる子は取れるんです。なぜかというと、麻布の入試問題は、問題に対して本人の考え方を言語化させるタイプだからです。だから、塾のテキストをどこまできちんとやり込んだかではなく、どのような形でもよいので、幅広い知識を主体的に得ていて、かつ自分の意見を言語化できる子ならば得点できるんです。その代わり、麻布より偏差値的には下の学校でも塾のテキストに載っている知識をしっかり問われる問題だと解けなかったりします。

次のページへ入試問題で聞かれる3つの能力とは
1 2 3 4