夏休みの宿題の定番、「読書感想文」。かつて夏休み終了ギリギリまで頭を悩ませた経験があるママ、パパもいらっしゃるかもしれません。その読書感想文が、宿題から“消えてきている”といいます。『親と子のギャップをうめる 知っておきたい超スマート社会を生き抜くための教育トレンド』(笠間書院)からご紹介します。

MENU 夏休みの宿題が「軽量化」 宿題を減らす二つの切実な事情 先生たちの宿題チェックも大変 読書感想文、いる?  いらない?

夏休みの宿題が「軽量化」

「ママー! 感想文って何書いたらいいの」

「え、明日で夏休みが終わるのにまだ書いてないの? 本は読んだの?」

 夏休み最終日に繰り広げられる親子のドタバタ劇。子どもは夏休みでも親は仕事があるので、読書感想文や自由研究といった大掛かりな宿題に寄り添ってあげる自信がない……と心配する人も少なくないのではないでしょうか。

 夏休み最後のドタバタは今も昔も変わらない光景ですが、読書感想文や自由研究、毎日の日記といった親にとっても重荷になるような課題は出さない、または希望制となっている公立小学校が増えています。中には宿題がゼロという学校まで出ているくらいです。

 低学年の夏休みの宿題は、簡単なドリルやプリント、お手伝いなどを課題とする学校が多く、絵日記が出されたとしてもせいぜい1日~数日分程度。軽量化され、むしろ「これだけでいいの?」と拍子抜けしてしまうくらいです。

 もちろん学校によって差はありますが、少なくとも親世代が子ども時代に経験したほどの重荷を夏に背負う必要はなくなっています。家で机に向かうよりも子どもたちには今しかできない経験を積んで、夏休みの思い出作りを優先しましょう、という教育的な意図があるからです。

宿題を減らす二つの切実な事情

 というのは表向きの理由です。背景には二つの切実な事情があります。一つ目は「事前の指導が行き届かない」という現実です。近年、読書感想文の宿題が必須ではなくなったある小学校の教員は、

「学校での指導時間が十分ではなかったので、子どもの力だけで書けるとは思えませんでした。保護者のサポートを受けられない子に申し訳ないですし、しっかりサポートする保護者にも申し訳ない気持ちでした」

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大楽眞衣子
大楽眞衣子

ライター。全国紙記者を経てフリーランスに。地方で男子3人を育てながら培った保護者目線で、子育て、教育、女性の生き方をテーマに『AERA』など複数の媒体で執筆。共著に『知っておきたい超スマート社会を生き抜くための教育トレンド 親と子のギャップをうめる』(笠間書院、宮本さおり編著)がある。静岡県在住。

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