7月3日、20年ぶりに新紙幣が発行されました。新紙幣の発行は約20年ごとにおこなわれていますが、なぜ新しい紙幣を発行するのでしょうか? また新しいお札の顔はどんな人でしょうか? 小中学生向けのニュース雑誌「ジュニアエラ7月号」(朝日新聞出版)よりお届けします。

MENU お金の歴史は“偽金づくり防止”の歴史 新しいお札の顔はどんな人?

お金の歴史は“偽金づくり防止”の歴史

 7月3日に日本銀行※から新紙幣が発行されました。新紙幣の肖像は、1万円札が福沢諭吉から渋沢栄一に、5千円札は樋口一葉から津田梅子に、千円札は野口英世から北里柴三郎にそれぞれ変わります。

 新紙幣の発行は約20年ごとに行われます。20年ほどたつと、その間に印刷技術が進化して偽札がつくりやすくなるからです。紙幣の偽造を防止するためにデザインなどを変えるのです。今回の発行にあたっては、お札を傾けると肖像が動いて見えたり、額面の数字が浮かび上がったりするなど、さまざまな工夫が凝らされています。目の不自由な人や外国人などすべての人が使いやすい「ユニバーサルデザイン」も採用されています。

 お金の歴史は、偽金対策の歴史でもあります。日本最古とされる銅銭は、7世紀後半につくられた富本銭です。次いでつくられたのが和同開珎(708年発行)。いずれも都の建設費などに充てられました。これらの銭貨(金属のお金)がつくられると、偽金も出回るようになりました。当時、偽金づくりは刑罰を定めた「律」で極刑(死刑)とされていました。

 明治時代には、政府は人物の肖像入り紙幣を、わざわざイタリア人版画家のキヨッソーネにデザインさせて、偽札づくりの防止に努めました。

 お金は基本的には、いかなる時代でも信用が要です。お金を発行する権力者は、偽金がつくられないよう、信用を保つため、常に手立てを講じる必要がありました。新紙幣が手に入ったら、どのような工夫がほどこされているか、ぜひ詳しく見てください。

写真/国立印刷局 図版/田中 和(朝日新聞メディアプロダクション)
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早川明夫
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