2024年度中学入試(社会)の傾向と対策を、文教大学地域連携センター講師の早川明夫さんが解説。今回は「問題の難易度と出題形式から見た傾向」についてお伝えします。桜蔭中学校・筑波大学付属駒場中学校・渋谷教育学園幕張中学校の社会で実際に出題された問題と解説も紹介します。小中学生向けのニュース月刊誌『ジュニアエラ2024年5月号』(朝日新聞出版)からお届けします。

MENU 傾向1)難問対策は必要なし  傾向2)選択形式が多様化し、正確な知識と読解力が必要に 傾向3)8割以上の学校で記述問題を出題 例1 東京都 桜蔭中学校 〈社会〉 例2 東京都 筑波大学附属駒場中学校 〈社会〉 例3 千葉県 渋谷教育学園幕張中学校 〈社会〉 解説と正解をチェック

傾向1)難問対策は必要なし 


 問題の難易度は、全体的には上位校で易化、中堅校で難化しています。単に難しい用語を問う問題はほとんど見られなくなりました。難問が出されても特に対策を講じる必要はありません。入試問題の多くは基礎・基本の問題で、この出来・不出来が入試の合否を決めます。入学後も、基礎学力がものをいいます。難問対策に時間を割くより、基礎・基本の定着に努めるのが賢明です。入試においては、満点ではなく、合格点を目指すことが大切ではないでしょうか。

傾向2)選択形式が多様化し、正確な知識と読解力が必要に


 問題形式は、①記号選択、②用語や数字の記入、③記述問題に大別できます。問題数では、圧倒的に①が多く、その形式は様々です。また、選択肢の数が、これまでは4択が大部分だったのが、近年、5~8択と選択肢の数が多くなっています(例1)。選択する形式も、正しいものをすべて選ばせる問題(例2)、渋谷教育学園幕張中学校で例年出題されている、短文X・Yの組み合わせ形式(例3)など多様です。こうした問題を解くには、正確な知識と読解力が求められます。

傾向3)8割以上の学校で記述問題を出題

 一行記述の問題を含め、記述問題は例年、8~9割の学校で出題されています。内容は、原因や理由を問う問題と、表・グラフ・雨温図・分布図・地形図・史料・絵画・写真・文章など様々な資料の読解問題がおおかたです。分析力、考察力、批判力、表現力(素早く読み取ったことをまとめる力)が必要とされます

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早川明夫
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