こうした背景から日本水泳連盟と日本スイミングクラブ協会、日本マスターズ水泳協会は2023年11月、咽頭結膜熱の俗称の「プール熱」が誤解や偏見を招く表現だとして、そのような呼称を使わないよう求める要望書を厚生労働省に提出しました。

Q 咽頭結膜熱の感染ルートはどのようなものですか?

 飛沫(ひまつ)感染、接触感染が主なルートです。また、アデノウイルスは糞便(ふんべん)にも排出されるため、糞便感染によってうつることもあります。目やになどを介して、感染することもあります。顔をふいたタオルは感染源となりますので、タオルの共用を避けることも大事です。

治療法はあるの?

Q 発症した場合の治療法は?

 有効な治療法がないため、熱を下げたり、のどの痛みを抑える薬を飲んだりする対症療法が中心になります。目の症状が強い場合は炎症を抑えたり、細菌による二次感染を防止したりするための目薬を使います。なお、問診や症状による診断が基本になりますが、アデノウイルス抗原の迅速診断キットがあるため、これを使用する医療機関もあります。

 咽頭結膜熱の症状は3~7日くらい続くことが多いです。主要な症状がなくなって 2 日を経過するまでは保育園や学校は出席停止です。咽頭結膜熱は髄膜炎や脳炎になることは少ないですが、熱が長引きやすいのが特徴で、5日間以上、続くことも珍しくありません。熱が続くと、体力が消耗します。脱水になると危険ですので、のどの痛みの刺激にならないような食べやすいものや飲み物を与えてあげてください。

Q 発症したと思ったら眼科、小児科のどちらを受診すべきでしょうか?

 熱をともなう場合は小児科がいいでしょう。目の症状だけであれば、眼科を受診しましょう。

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