一方で、あれほど育児の時間をとれたのは、コロナ禍だったからこそだとも思っています。コロナ禍でリモートワークが普及したこと、家族の大切さを改めて実感したことで、育児に関わる父親は確実に増えましたよね。昨年から今年にかけて、一緒に仕事をしている男性アナウンサーが2人育休を取ったんですが、そのうちの1人は1年間休むと言っていました。育児って人を成長させますから、戻ってきたら前よりいい仕事ができるようになるとか収入アップ、なんてこともあるかもしれませんね。

――そうかもしれないですね。

 僕は実際、育休後に仕事が増えました。それに、あの夜泣きに苦しんだ半年を経験したおかげで、次女の寝かしつけは誰よりも上手くなったし、妻の大変さも身をもって理解できました。今でも次女が鼻水を出すと、当時の記憶が蘇って緊急速報並に身構えますけど(笑)。

父親が知っている育児はせいぜい10個 実際のタスクはその何倍もある

――半年間の「夜泣き担当」後、奥様からは何か言われましたか?

 もちろん日々感謝の言葉はもらっていましたが、特別何か言葉をかけられた記憶はないですね。妻は毎日子育てマラソンを100キロ走っているようなもの。それと比べれば、僕の夜泣き担当なんて、たかだか5、60キロ走ったくらいのものでしょう(笑)。 育児ってこなさなきゃいけないタスクが毎日1000個くらいあるのに、家にいる時間が少ない父親が知っているのは、食事の準備、おむつ替え、お風呂、寝かしつけ、保育園の送迎など、せいぜい10個くらい。だから2つ、3つ手伝いをしただけでもものすごくやった気になってしまうんですよね。

 もし父親の育児を褒めてくれる人がいるとすれば、それは子どもだと思います。膝に乗って来てくれたり、夜「パパと寝る」って言ってくれたりしたら、それは子どもが褒めてくれたということ。子育てを頑張る理由としては、もう十分です。まぁ僕の場合、妻のことが本当に大好きですから、子育てにせよなんにせよ、妻から嫌われないために頑張っている、というのが本音なんですけどね(笑)。

※<後編>古坂大魔王が語る、2人の娘の「褒め方」とは 「親バカも含めて言いますけど、すごいんです、うちの子」に続く

(構成/木下昌子)

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木下昌子
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