十数年前から子どもをほめて認める育児を実践してきたはずなのに、現在中1の長男を見て実感するのは「ほめられること」すらしてほしくない、低すぎる自己肯定感――。自己肯定感の低さを改善するべく提唱されたほめる育児をしたはずなのに、なぜこのような逆行現象が起こってしまったのか、3人男子を子育て中のコミックエッセイストtomekkoさんが、綴りました。
最近2歳を迎えたわが家の豆柴、柴犬界ではあるあるな、いわゆる『柴拒否』をついに発動するようになりました。
お散歩中、急に凛々しい顔で短い四つ足を踏ん張ります。リードに反発して顔がムギュムギュになろうともテコでも動かなくなる、あれです。
犬育てもどうやら子育て同様年々進化しているらしく、今は無理に引きずったり叱ったりするのではなく『望ましい行動をした時にすかさずほめる』のが大切だと聞きまして、しばらく愛犬の虚無時間に付き合い(そのため近所一周程度の散歩が1時間に及ぶことも……)。よっこらせと歩き始めたところで「いい子! ヨッお散歩上手!」とほめたたえたところ……。
なぜかその声を聞くとピタリ。リードに対して斜め45度に重心をかけて柴拒否再び、です。
え、意味がわからない。褒めたよ? 今望ましい行動を褒めたよね? もこもこの毛の奥から覗く心外そうな目、なんか見たことある気がする……。
「別に、ほめられたくて歩いたわけじゃねーし」
思春期だ。ほめられるとかえってふてくされる中2男子の目(イメージ)だ。もしかして逆効果だったの……?
結局反抗期犬(知らんけど)の対処法はよくわからないのですが、奇しくもわが家には複雑なお年頃の中1長男がいます。本格的な反抗期は来ていないものの、先日発覚したとある出来事で見せた彼の対応が、まさにこの柴拒否と重なってしまいました。
小学校の頃からとにかく提出物を出さないで有名だった長男。いや出させる習慣づけがうまくできなかった私が悪いのですが、この悪習が中学に入っても続いています。学校に提出するプリントなどはまだしも言えば出すんです。絶対に出してこないのが、テスト。のび太みたいに0点を隠し持っているというならわかります。私だって30点のテストを引き出しの奥底に隠していたことはある(あるんだ)。でもそうじゃないんです。
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