子どもを褒めたい気持ちはやまやまだけど、ほかのきょうだいに目がいってしまったり、期待値が高すぎて言葉に詰まったり。3人の男子を育てているコミックエッセイストtomekkoさんも、いちばん上の長男に対しては褒めるよりお小言が多くなるのが悩みです。そんななか、デジタルツールを駆使したプレゼン発表会が小学校で行われ、意外な子どもの成長を見ることに。発表から気づかされた長男への懺悔や「子離れの心境」とは――。
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感染症対策のため窓という窓が開け放された体育館で、震えながら5年生のプレゼンテーションを観賞する――。GIGAスクール構想なんて名前だけ聞くと妙に進化的な教育方針の改変と、それを実施する吹きっさらしの実質“青空教室”のギャップに苦笑しながら、学年末、長男の学習発表会を見に行ってきました。
子どもたちは日本の歴史をテーマにおのおの興味のある分野を調べ、iPadにまとめたプレゼン内容をスクリーンに映して前に出て次々と発表する、という流れ。5年生のデジタル教育に求める成果を公立校がどのレベルに設定し指導しているのか、それを決めているのは教育委員会なのか学校なのか、はたまた担任の先生なのか……よくわからないまま見せられる成果物にどんな反応をしていいかわからなかったんですが。正直、全体を通して小5のプレゼンなんてまぁこんなもんだろうという印象でした。
でも実は私はこの日、わが子の発表に、デジタルとは全然違うところでひっそりと感動していました。長男が発表したのは「日本の城」。もちろん掘り下げ方は浅いしツッコミどころ満載のプレゼンではありました。ただ、家で接しているだけでは知り得なかった長男の力が見えてきたんです。
一つは資料の使い方。多くの発表が、画面が文字で埋まってしまい、もう少し視覚的な補助が欲しかったな~というパターンか、画像資料はあるもののそれが何を表しているかの説明がないものでした。そのなかで長男は城の構造の違いがよくわかるような比較画像を使ったり、説明している城の特徴が伝わりやすい資料をタイミングよく目に入るように出したりしていました。
次のページへ全て自分の言葉に落とし込んで説明していた