何か明確な目的があり、特定の期限までにある水準まで英語力を上げたいからできるだけ効率的にという気持ちもわかります。私たちもそれをサポートするノウハウは持っています。しかし、繰り返しますが勉強は生涯続けるものであり、生涯続けるためには本人が「これは無駄かな?」といったことは一切考えず、自分の興味の赴くままに学んでいく姿勢が重要です。

 そうした姿勢を育むためにも、小さなときから自由に、脇道にそれながら楽しく学んでいく体験を積むことが大事だと思います。

無駄な学習を楽しめる子どもに

 こうしたことから、講演会や塾の親御さんなどから「最も効率的な学習法を知りたい」と聞かれたら、「むしろ無駄な学習を楽しめる子どもにしたくないですか?」と答えるようにしています。無駄な学習が楽しめる子どもなら受験が終わっても主体的に勉強ができますし、勉強を長く続けることで、結果的に高度な知的作業に従事する水準に到達できるはずです。

 大人は皆なにかしらの知識や経験があるので、子どもが脇道にそれるとつい最短距離を走らせようとしてしまいます。しかし、往々にして最短距離は子どもにとって楽しいことではありません。「楽しむ」という無駄を排除するわけですから、当たり前のことです。

 子どもは楽しさを感じないものは続けたいと思いません。

 私たちの塾でもいまAIを使った教材を開発しているところですが、AIに効率性だけ重視して教材をつくらせると本当につまらない教材になってしまいます。子どもが熱心に取り組める教材にするためには適度なノイズが必要です。 

親が効率を求めた結果、娘は情熱を失った

 短期的に見れば効率性はたしかに重要です。でも中長期的に見たときにそれがどんな結果につながるのかということを予測することもやはり重要であり、そこをうまくバランスを取りながら勉強法を考えていくことをみなさんにはおすすめしています。

 これは自戒を込めたメッセージでもあります。

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