帰国子女で英語は堪能。報道番組や音楽番組では、外国のスポーツ選手や有名タレントに英語で堂々と取材する姿が印象的だった、元テレビ朝日アナウンサーの竹内由恵さん。『AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2022」』(2021年7月29日発売)では、竹内さんの英語力が培われた小学校時代のエピソードなどについて話を聞いた。

写真/所属事務所提供
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「映画監督のクエンティン・タランティーノ氏にインタビューしたことは忘れられません。尊敬する方と直接お話しできたのも英語のおかげ。私のいまの人生は、英語なしでは存在しなかったと思います」

 そんな竹内由恵さんの英語力は小学生時代に培われた。父の仕事の関係で小学4年生のときに渡米し、現地の公立小学校に通うことになった。

「当時はアルファベットさえ読めませんでした。現地校の授業は全部英語なので、国語(英語)の授業は大変で。『ヨシエは絵本を読んでいいよ』と言われたんですが、絵本でも意味がわからなくて、こっそり日本のマンガを読んでいたら、しかられました(笑)」

 言葉が通じない環境に突然置かれた10歳の竹内さん。つらくはなかったかと聞くと、「実は……全然つらくなかった」とほがらかに笑う。「親から、『あるとき突然、英語で考えられるようになるんだって。楽しみだね』と言われていたので、私も『いつかな?』とワクワクしていました。2年後には、寝言も英語になりました」

 その間は、家でも学校でも「できること」でコミュニケーションを取り続けた。家庭教師からは、ボディーランゲージで英語を教わった。友だちとは単語をつなぎ合わせ、絵を描いておしゃべりした。

「親が『由恵はなんとかするだろう』ってのん気に構えていたので、私も『なんとかなるさ』って思えたのかも」

 そして、いろんな人がいて当然という米国の寛容な空気も竹内さんを支えた。

「渡米前、私はアトピーの肌に悩んでいたんです。でも、アメリカに来たらブツブツの肌なんてだれも気にしない。肌の色も国籍も言葉も違って当たり前。人の目を気にしなくなりました」

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神素子
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