英語教育の低年齢化が加速する今、子どもの英語学習にどう関わればいいのか悩む親が増えています。英語教育の成功のカギはなにか。親ができることとは――。『斉藤先生! 小学生からの英語教育、親は一体何をすればよいですか?』(アルク刊)からお届けします。

MENU 親の焦りが子どもに過度の負担をかける 教育の話題は「過度な期待」が起きやすい 学びの主導権は子どもにある

親の焦りが子どもに過度の負担をかける

 小学生英語で大人が常に意識したいことは、「英語好きにすること」でも「英語をペラペラにすること」でも「英検に合格させること」でもなく、「英語嫌いにしないこと」です。

 そもそも英語嫌いはどんなことをきっかけに起こるのか?

 それは、周囲の大人が子どもに過度の期待と負担をかけたときです。言い方を変えれば、大人が理想のレールを敷いて理想のペースで走らせようとしたときです。

 自由に楽しく英語と触れ合っているだけならプレッシャーはないので、少なくとも英語嫌いにはなりません。でもそこに大人が介入しすぎて、大量のドリルをこなすことを強制したり、行きたくもない英会話レッスンを受けさせたり、子どもの英語に毎回ダメ出しをしたり、受験のプレッシャーをかけたりしだすと、ある日を境に「英語は楽しい」が「英語はツライ」に変わってしまいます。

 英語嫌いにしないためには、「(本人が望んでいないのに)勉強っぽい雰囲気にしない」「失敗しても怒らない」「完璧さを求めない」「理想を押し付けない」といった、子育てでよく言われる「待ちの姿勢」が重要になります。

 しかし、この「待ちの姿勢」が多くの親御さんにとっては難しい。近所の同世代の子どもが流暢に英語を話せることを知ると「その点、うちの子は……」と焦ってしまいます。子どもの将来を案じるのは自然なことですから、焦る気持ちもよくわかります。 

 しかし、「親の焦り」が強くなりすぎると、知らず知らずのうちに子どもに過度の負担をかけることになりやすいので注意が必要です。しかも当の親御さんは「この子の将来のために」と思っていますから、負の影響を及ぼす可能性に気づいていない人が少なくありません。

 だからこそ「なぜわが子に英語を学ばせるのか?」を冷静に考えてみることが重要になります。「親御さんが考える目的」が「子どもがやりたいこと」や「子どもができること」と一致するとは限らないからです。

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斉藤 淳
J PREP代表 斉藤 淳

J PREP代表。元イェール大学助教授。上智大学外国語学部英語学科卒業、イェール大学大学院政治学専攻博士課程修了。2012年に J PREP 斉藤塾を起業。著書に『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』(ダイヤモンド社)、『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』(KADOKAWA)、『アメリカの大学生が学んでいる本物の教養』(SBクリエイティブ)などがある。

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