安浪:今年、実際に自分の子どもが中学に進学して思うことは、当たり前なんですけど、実際に入学してみないとわからないことも多いな、と。学校説明会では学校のシステムやサービスを紹介してくれますが、やはり大事なのは、なかにいる生徒の雰囲気だな、と思いました。

矢萩:いやもう、その通りですよ。実際に通っている生徒たちにあなたの学校のどこがいいですか?って聞くと、校舎や設備などのハード面や、カリキュラムやシステムを挙げる人はあまりいないんです。やはり、いい先生や友達がいるとか、この授業や行事が楽しいとか、そういう話が多いわけで。だからその場所にどんな先生がいるのか、というソフト面は一番重要なところなんですが、学校としても先生の入れ替わりはあるので、そこは大きく言えない。

安浪:そうですね。あと学校の雰囲気を見るためには生徒の登下校の姿を見るといい、と常々言っているのですが、もう一つ中学生の親になって思ったのは、保護者会帰りの保護者を見ることでもその学校の雰囲気が伝わるんじゃないかな、と。在校生の保護者のカラーって学校によってすごく違うので。だからもしこの学校の中学の保護者会はこの日です、というのがわかったら、校門の前で待ち伏せして様子を見てみる、というのも一つの手かも(笑)。

校長が1年に複数回替わる学校は注意

矢萩:なるほど。あと、注意すべき点ですが、例えば校長が1年に2回替わりました、みたいなことでしょうか。特別な理由がない限り、年度の途中で変わるケースは、学校内で何かトラブルが発生している可能性が高い。また、新しく入った先生が根付かないケースですが、これは比較的どこの学校もあることなので、仕方ないといえば仕方ない。大雑把な言い方をすれば、「ここは違うな」と思えばどんどん転職していくZ世代の先生たち特有の価値観かもしれないです。

安浪:あとリアルな問題として、学校側に資金があるかどうかですよね。資金運用がうまくいっている学校は、いい先生を高待遇で繋ぎ止められます。だから校舎などを見まわしたとき、生徒の生活空間内で壊れた場所が修理されていなかったり、何か学校の雰囲気が殺伐としていたりするところは気をつけたほうがいいかもしれないです。学校のメンテナンスもできないようなら、先生達にも十分にお金が払えていない可能性だってあります。そうなると当然、先生たちの士気も下がり、生徒たちにさまざまな影響が出ますからね。

(構成/教育エディター・江口祐子)

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安浪京子
中学受験専門カウンセラー/算数教育家 安浪京子

やすなみ・きょうこ/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(ダイヤモンド社)。オンラインサイト「中学受験カフェ」主宰。

矢萩邦彦
中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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