一つの私立高校の中に複数の「小さな高校」がある
私立高校ではさまざまな名称の特進コースが生まれています。スーパー特進コース、国公立コース、最難関選抜コース、大進選抜コース、アドバンストコース、スーパープレミアムコース、プログレスコースなど、その種類は多岐にわたります。近年はその名称がインフレを起こしており、「特進コース」が最も学力レベルが低いコースを指す学校もあります。
コース制を採用している私立高校は、同じ高校の中に、偏差値が20近くも異なるコースが混在していることも珍しくありません。原則3年間同じコースに所属して持ち上がることになります。まるで一つの高校内に複数の「小さな高校」が存在するような状態です。同じコースの生徒同士が3年間一緒に過ごすことで、強い絆や団結力が育まれることがメリットです。一方で、異なるコースの生徒間での交流が少なく、クラス替えの流動性がないため、交友関係が広がりづらく、学校全体としての一体感が欠ける傾向にあります。同じ学年の中でも知らない生徒が多く、学校全体としてのコミュニティや愛校心が形成されにくいデメリットがあります。コース制の私立高校では、学校全体としての統一感よりも、コースごとの特色を優先しているといえます。開成や渋谷幕張のような難関進学校はコース制を行っていません。また、國学院高校(渋谷区)のように、あえてコース制を行っていない学校もあります。
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東京高校受験主義(東田高志)
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