「2018年に行われたアジア大会(ジャカルタ)でも銅メダルを獲得した荒川さんが、いよいよ本校初のオリンピック選手として世界に羽ばたきます。置かれた場所でそれぞれのカリスマを花開かせようと懸命に生きている全ての卒業生のみなさん、そして在校生、保護者のみなさま、教職員一同が、聖光学院の家族的つながりの聖火を心に灯しつつ、荒川さんの益々の活躍を祈っております」(同校ウェブサイト)
同校から五輪選手が誕生するのは開校以来初。工藤誠一校長は、次のような応援メッセージを寄せた。
「聖光学院初のオリンピック選手に選出された荒川君! 学校あげて応援します。後輩達に感動を届けてください」
聖光学院中高は神奈川県内では中学受験で最難関として数えられる。同校は難関大学への高い合格実績を誇り、東京大合格者数は2017年から2021年まで、69人→72人→93人→62人→79人と推移する。2018年を除けば、いずれの年も県内トップである。
学生時代について、荒川選手はこう振り返る。
「聖光学院中学が第1志望でしたが、まだ小学生だったこともあり、将来のことまでは何も考えていなかったですね。受験のため日能研に通って毎日夜遅くまで勉強していましたが、いやだったなあという思いはありました。聖光学院では東京大をめざす者が多かったのですが、高校2年のときの成績は学年で下から数えたほうが早かった。いまからがんばっても東大は厳しいと考え、一橋大法学部を志望しました。一橋は大学の規模が小さいながら、さまざまな学部と交流できるのが魅力でした。法学部のゼミでは民法の小粥太郎先生から学びました」
ボートの魅力はなにか。荒川選手はこう話す。
「ボートから水面まで目の前の近さなので、漕ぐとき、水を切る瞬間が気持ち良いんです。水上を走る爽快感といいますでしょうか。バスケなどの球技と違って、自分の努力が見えやすいのがいいですね。勉強と同じで、自分で取り組んだ分は数字でわかります。また、ボートは1時間、2時間と単調な動きを繰り返します。わたしはそれが好きで、自分に向いていると思っています」
次のページへ楽しく漕ぐことが力に