おすすめポイント 

 おばあちゃんからの手紙に喜ぶリス、クマからの招待状を手にぴょんぴょんとび跳ねるウサギを見たギロンが、「手紙って、もらうとあんなにうれしいのか。おれももらってみたいぁ」と言います。

 たったの一度も、手紙をもらったことも書いたこともないギロン。小学校低学年ならギロンと同じく「手紙をもらったことがない」という子も多いのではないでしょうか。「手紙ってなんだろう?」と思いながらお話を読みすすめると、だんだん色々なことがわかります。「文字で何かを伝えたら、喜んでくれる相手がいること」や「手紙を書けば返事をもらえること」。文字でのコミュニケーションの楽しさを、ギロンと一緒に想像できます。

 漢字はなく、カタカナにもルビが振られているので、ひらがなさえ読めれば大丈夫。また、丸山誠司さんが描くギロンやヤギの表情が魅力的です。ギロンが「てがみをさがしてこい! どこにあるのか、おおいそぎだぞっ」と叫ぶシーンは迫力満点だし、弱々しいヤギが「はいっ。わかりました。さがします。まっていてください」と走り去るのもコミカル。ヤギの好物が“紙”ということがトラブルの原因なのですが、ちょっぴりおかしいシーンがいくつもあって、テンポよくお話を楽しめます。

『おてがみほしいぞ』(あかね書房)より
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