AERA2020年3月9日号掲載
AERA2020年3月9日号掲載

 それをここでは「川区境」と呼ぶことにして、川区境における暗渠含有率もはじいてみよう。23区全体では31.5%で、川区境の3分の1を暗渠が占めていることになる。

 これを区ごとに見たときに、堂々トップに輝くのが渋谷区なのだ。渋谷区の川区境全長6.5キロのうち6.4キロ、なんと98.4%が渋谷川、いもり川、笄川、三田用水、玉川上水などの暗渠で占められており、川区境的にも非常に高い暗渠濃度を誇っている。

 渋谷を「不易流行」という視点で見てみれば、世紀の大改造中であるこの土地は、まさに流行そのものであり、不易などどこにあるものかと思わざるを得ない。しかし、水の流れを感じてみると、そんな土地でもしっかりと、「不易」を刻み続けているのがわかるはずだ。

 耳を傾けてみよう。静かながらも確かな水の魂の声が、きっとあちこちから聴こえてくるはずだ。そのとき、あなたはあなただけの「テーマパーク」がそこにあることに気づくだろう。(暗渠ハンター・高山英男)

※AERA 2020年3月9日号