これが議事堂襲撃前のツイッター投稿に類似していたのが、大陪審招集を延期するなど警戒が広がった理由だ。

 22日時点で、フロリダ州にあるトランプ氏の自宅近辺に支持者が集まっている。ニューヨークでは、大規模な抗議集会は開かれていない。

 トランプ氏は大統領時代、大統領として罪を犯した際に追及される「弾劾(だんがい)」を2回もくぐり抜けた。

 しかし、今回の口止め料問題に加え、南部ジョージア州でもトランプ氏本人を訴追する動きがある。

 20年の大統領選挙結果について、州務長官など選挙担当幹部に電話し、バイデン民主党候補(当時)の勝利を覆す票を見つけるように圧力をかけた問題だ。ロイター通信によると、同州の大陪審が事件について報告書をまとめ、訴追に向け大詰めを迎えている模様だ。

 起訴されてトランプ氏がニューヨークに出頭すれば、指紋を取られ、マグショットと呼ばれる顔写真を撮られる。

 まるで刑事ドラマを見るような展開だ。

 トランプ氏が起訴されれば、「何人も法を超越してはならず、裁かれるべき」

 という米国の名言が実現する。証拠隠蔽(いんぺい)や文書改ざんなどは許されず、米国が強い法治国家であることを市民が再認識するチャンスとなる。

(ジャーナリスト・津山恵子(ニューヨーク))

AERA 2023年4月3日号

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