羽生結弦(撮影/写真映像部・東川哲也)
羽生結弦(撮影/写真映像部・東川哲也)

羽生結弦 notte stellata」が3月10~12日、東日本大震災から12年に合わせて開催された。羽生さんが地元・宮城で伝えたのは「希望」だった。AERA 2023年4月3日号の記事を紹介する。

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 満天の星が氷上と大画面に映し出され、ショーのタイトルでもある「notte(ノッテ)stellata(ステラータ)(星降る夜)」の音色が響く。羽生結弦さん(28)のソロからスタートするという豪華演出に、歓声が湧き起こった。

「今回は『希望』というテーマが一つ大きなもの。オープニングで、スクリーンに3.11の頃の星空を出していただいて『星空から出てきた希望とともに今まで滑ってきたんだ』ということを感じながら滑らせていただきました」

 自身も被災した2011年3月11日の、停電した仙台の夜空に広がった満天の星。羽生さんがその時に感じた希望がショーのコンセプトだ。総合演出のデイビッド・ウィルソン氏と、震災への複雑な思いを希望という前向きなテーマとしてどう発信していくか綿密に打ち合わせた。

「オープニングで僕が演じたあと、星が降ってくるような形で流れ星のように今回のキャストのスケーターさんたちを見せたい、とデイビッドさんと話しました。僕の『notte stellata』と、その後に続くオープニングが一つのプログラムとして見える感覚になっています」

羽生結弦(撮影/写真映像部・東川哲也)
羽生結弦(撮影/写真映像部・東川哲也)

■内村航平さんとコラボ

 共に演じるのは縁ある8人のゲストスケーターだ。仙台生まれの本郷理華さん(26)、大学時代に仙台を練習拠点とした鈴木明子さん(37)は鎮魂の思いを込めた。18年平昌五輪に羽生さんと共に出場した宮原知子さん(25)は耽美(たんび)な滑り。米国のジェイソン・ブラウンさん(28)は世界選手権(22~26日)直前にもかかわらず友情出演し、SNSでコメントした。

「ゆづ、このとくべつなショーで滑る機会を与えてくれてありがとう。あなたの心と闘志が私を奮い立たせます」

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