どうなる?色とりどりのおしゃれマスク(イラスト:サヲリブラウン)
どうなる?色とりどりのおしゃれマスク(イラスト:サヲリブラウン)

 作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。

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 先日、政府の新型コロナウイルス感染症対策推進本部が、マスク着用の見直し等についての決定を発表しました。概要を引用すると、

 新型コロナウイルス感染症対策におけるマスクについては、屋内では基本的にマスクの着用を推奨するとしている現在の取扱いを改め、行政が一律にルールとして求めるのではなく、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本とし、政府は各個人のマスクの着用の判断に資するよう、感染防止対策としてマスクの着用が効果的である場面などを示し、一定の場合にはマスクの着用を推奨する。

 というもの。適用は3月13日からだそうです。

 いやあ、長かった! 足掛け3年ですもの。我々は本当によく頑張ったよ。

 とはいえ、コロナが消滅したわけではありません。高齢者や重症化リスクの高い人が混雑した場所や医療機関に行く時は、マスクの着用が効果的とも記されています。

「個人の判断に委ねることを基本とする」という文言に、空気を読んで右へ倣えが気楽な日本人がどう対応するかも気になるところ。確かにノーマスクの人をちらほら見かけるようになりましたが、3月13日から一斉に外すとは思えません。花粉症の時期ですし。

 この3年、マスクのおかげで、供給難による価格変動、政府の介入による供給量の変化、供給過多による価格暴落、需要の変化に合わせた仕様の変化などをつぶさに観察できました。不謹慎かもしれませんが、個人的には大変勉強になったのです。ある種の社会実験のようでもありました。

イラスト:サヲリブラウン
イラスト:サヲリブラウン

 N95のような微粒子対応マスクを見かけた時期もありましたが、現在は色とりどりのおしゃれマスク真っ盛り。小顔に見えるマスクも流行っています。表参道や恵比寿の女性たちを見ると、昔から存在する白くてシンプルな不織布マスクをしている人のほうが少なく見えるくらいです。

 3月13日を境に、「おしゃれマスク」がどうなっていくのか非常に興味があります。いつの間にか消えるのか、冬から春にかけてのファッションアイテムとして定着するのか。

 個人的には、高級ブランドがマスクを売り出す未来を想定していたのですが、そこまではいきませんでしたね。

 1枚1500円くらいするハイブランドのマスク、あったら試しに買ってみたかったなあ。

○じぇーん・すー◆1973年、東京生まれ。日本人。作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニスト。著書多数。『揉まれて、ゆるんで、癒されて 今夜もカネで解決だ』(朝日文庫)が発売中

AERA 2023年3月6日号

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ジェーン・スー

ジェーン・スー

(コラムニスト・ラジオパーソナリティ) 1973年東京生まれの日本人。 2021年に『生きるとか死ぬとか父親とか』が、テレビ東京系列で連続ドラマ化され話題に(主演:吉田羊・國村隼/脚本:井土紀州)。 2023年8月現在、毎日新聞やAERA、婦人公論などで数多くの連載を持つ。

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