わだ・はるき/1938年生まれ。専門はロシア・ソ連史、現代朝鮮史研究。著書に『領土問題をどう解決するか 対立から対話へ』など(photo 編集部・古田真梨子)
わだ・はるき/1938年生まれ。専門はロシア・ソ連史、現代朝鮮史研究。著書に『領土問題をどう解決するか 対立から対話へ』など(photo 編集部・古田真梨子)

 昨年11月、ウクライナと国境を接するポーランドにミサイルが着弾し、2人が死亡する事件があったとき、「ロシア発だ」と主張するウクライナのゼレンスキー大統領に対し、米国のバイデン大統領は早々に「ウクライナ発」である可能性に言及しました。米国が今回の戦争において、ウクライナの抗戦論の支持をやめ、即時停戦に動くことがありえます。米国とウクライナが対立する事態となるかもしれません。そうなると大変です。

 誰もがここまで戦争が長期化するとは予想していなかったでしょう。ゼレンスキー大統領は日を追うごとに固い姿勢になり、国民の団結を背景に停戦交渉のテーブルにつくのが難しくなっているのではないでしょうか。

 今、停戦のために働くにふさわしい国は日本だと思います。中国とインドは立場が違いますが、この2カ国を日本が仲立ちして停戦交渉の仲裁国としてはどうでしょうか。この考え方は専門家の方々には大不評ですが、アジアの大国が仲裁する以外に道がありません。

 私は第2次世界大戦の終戦の時、小学校2年生でした。空を飛ぶ美しい米爆撃機B29を見た世代です。静岡県の実家で空襲に遭い、防空壕(ごう)で耐え抜きました。あの経験から言えることは、戦争は一日も早くやめなければならないということです。広島、長崎への原爆投下は私たちの町に空襲があった1カ月後のことでした。敗戦して憲法9条を獲得した日本こそ、世界を救う国にならなければなりません。

(構成/編集部・古田真梨子)

AERA 2023年2月27日号