――「カメラを止めるな!」は最初2館での劇場公開でしたが、SNSなどの口コミで爆発的なヒットになりました。

 そうですよね。完全に口コミで広がっていきましたよね。あれがいい例だと思っていて、100人のうち5人にぶっ刺さるものが、最終的に100万人が見るものになる、王道にひっくり返ると僕は思っていて、そういう本質(インサイト)を秘めた企画を作ろうと思っています。

「本質を秘めた企画を作りたい」と語る長崎さん(撮影/高野楓菜)
「本質を秘めた企画を作りたい」と語る長崎さん(撮影/高野楓菜)

■「面白いけどちょっと嫌なこと」から

――具体的に企画を作っていくときに、どんな風に考えていくか、教えていただけますか。 

「面白いけど、ちょっと嫌なこと」から考えます。ぎりアウトの線をはみ出してしまってるくらいの嫌なこと。そこから徐々に実現性に向けてチューニングしていく感じです。

 例えば、Netflixのドラマ「全裸監督」に出演する山田孝之さん、玉山鉄二さん、満島真之介さんが出演する「FIVE CARDS TALKS」という番組を企画したことがあります。これは「全裸監督」シーズン2のPRも兼ねたNetflixのオリジナルコンテンツで、この超実力派俳優3名が出演する面白いことを考えてください、というお題でした。

 恐縮すぎるほどに、豪華な出演者さんたちだったので、挑戦的であればあるほどリッチなコンテンツに近づくはず。あとは、演者さんたちに自由に楽しんでもらえる仕掛けをプラスしたいと考えました。まず考えたのは「即興で嘘をついてほしい」ということ。演じるプロである御三方が、ガチのアドリブで話を作って即、演じる。あとは、それを結末が気になる、対決形式でやれないかなと思いました。そこで企画したのが、これらの要素を含んだカードトークゲームです。

 山田さんVS玉山さん(司会に満島さん)が対決するような形で、それぞれ手元にある5枚の質問カードの質問を相手に投げかけ、それについて相手が答えていくようにしました。ただし、そのうちの一つの答えは真っ赤な嘘をつかなくてはいけないというルールです。相手が、どの質問に対して嘘をついているのかを見破るという、最終的にトークバトルゲームのような形にしました。

 めちゃくちゃ無邪気に企画を提案してみた結果、普段なかなか見られない平静を装いながら嘘をつく山田さん玉山さんと、普段の3人の関係性が見えたんじゃないかなと思いました。

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心が動いた瞬間は全部企画になる