ロシアの男性たちが続々結婚登録所へ 部分動員令がもたらした大きな転機とは 

ウクライナ

2022/10/18 08:00

9月21日、ロシアでは部分動員令が出された。10月7日、オムスクで親族や知人に別れを告げるロシアの予備兵(写真:アフロ)
9月21日、ロシアでは部分動員令が出された。10月7日、オムスクで親族や知人に別れを告げるロシアの予備兵(写真:アフロ)

 ウクライナに侵攻したロシアが苦境に立たされている。部分動員としながらも実際は無差別な招集、ウクライナ4州の編入強行はその表れだ。ロシア国内で何が起きているのか。AERA 2022年10月24日号から。

【写真】爆破されたクリミア橋はこちら

*  *  *

 今から80年近く前のこと。国民的漫画『サザエさん』を生んだ長谷川町子さんの姉、毬子さんは、婚約者に召集令状が届いたため、急遽(きゅうきょ)結婚式を挙げた。わずか1週間の新婚生活の後、戦地に向かった夫はインパール作戦に駆り出され、帰らぬ人となった。

 戦時中の日本と同じようなことが、現代のロシアで起きている。ウクライナの戦場への動員が決まった男性たちが出発前に正式な結婚をしようと、将来を誓った相手と共に、続々と結婚登録所を訪れているのだ。

 プーチン大統領が2月に始めたウクライナ侵略が大きな転機を迎えている。プーチン氏は9月21日、ロシアの予備役の部分動員に踏み切った。さらに、ウクライナの東部と南部の4州で、偽の「住民投票」を強行。9月30日にロシアに4州を強制的に編入した。これら強硬策は、いずれもロシアが苦境に陥っていることの表れだ。

 まず部分動員から見ていこう。ソ連、ロシアの歴史を通じ、国民を強制的に戦場に送り出す動員が発動されるのは、第2次世界大戦後はじめてだ。これは、市民社会に大きな動揺を広げている。

 プーチン大統領は、動員の対象となるのは「軍務経験のある予備役」であり、「特別な技能や経験を持つ者が優先される」と述べた。ショイグ国防相は、動員されるのは30万人であり、対象となる可能性がある2500万人のうちの1%強にすぎないと強調した。

 しかし、こうした発言がうそっぱちであることがすぐに明らかになった。

 その日を境に起きたことは、無差別な招集だった。高齢者、軍務経験のないもの、持病持ち、父子家庭の父親といった、本来招集から除外されるはずの男たちにも令状が届いた。果ては道を歩いていただけで召集令状を手渡されたといった混乱がロシアに広がった。

1 2 3 4

あわせて読みたい

  • 追い詰められたプーチンと「弱さ」露呈したロシア 最悪の選択肢とは

    追い詰められたプーチンと「弱さ」露呈したロシア 最悪の選択肢とは

    AERA

    10/19

    「数字はフェイク」併合はプーチン氏の焦り?  ウクライナ人記者が証言する住民投票の実態

    「数字はフェイク」併合はプーチン氏の焦り? ウクライナ人記者が証言する住民投票の実態

    dot.

    9/28

  • ウクライナはソ連の不良品? 分裂の実相は

    ウクライナはソ連の不良品? 分裂の実相は

    AERA

    5/25

    かつての兄弟国がなぜ戦闘状態に?ウクライナ紛争の背景を読む

    かつての兄弟国がなぜ戦闘状態に?ウクライナ紛争の背景を読む

    ダイヤモンド・オンライン

    2/21

  • ウクライナ侵攻から半年、注目はヘルソン攻防 ロシアから奪還なら戦況が変わる可能性

    ウクライナ侵攻から半年、注目はヘルソン攻防 ロシアから奪還なら戦況が変わる可能性

    AERA

    8/26

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す