三國さんの作品
三國さんの作品
三國さんの作品
三國さんの作品

「自分が感じることをベースに生きること、それが生きることの意味だってこの日記を書いた12歳の私は思っていました。それが私の職業にまで繋がっているような気がするんです」

エッセーへの惜しみない称賛は続く。いまだに自分の書いたエッセーがたくさんの人に評価してもらえるということが、どこか信じがたいと語る三國さん。なぜなら、自分はずっとはみ出しものの人生だと思っていたから。けれど、それも裏を返せば、それだけオリジナリティにあふれる人生だからともいえるだろう。

「ニットのデザインを考えるときは、思いのままに編み進めて完成したものを編み図として書き起こしています。最後の段になるまで形を追いつづけるしかないんです。そのせいでしょうか。私の編み図を使ってニットを編んでくれる人って、物語を読んでいるみたい、小説を読んでいるみたいっていう人が結構いるんです。そうして出来上がった作品を見ると自分だなって思うんですよね。私がここにいるとしか言いようがない、もちろんそれは自分の良い部分ではあるのですが、作品を見るたびに自分から出たものがここにあるなっていつも思うんです」

三國さんの作品
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10代の彼女に、本著でも登場する「ひろしおじ」はこう予言した。

まりちゃんは40歳になったら社会で活躍するよ――と。

ニットデザイナーとして羽ばたいた40代、エッセイストとしての才能が開花した50代。少女の時から繋がる道を歩き続ける三國さんの第二章は、まだ始まったばかりだ。

(編集部 三島恵美子、写真映像部・高橋奈緒)

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◯みくに・まりこ/1971年、新潟県生まれ。2000年、お菓子作りをする妹さんと一緒に、お菓子と手編みニットの販売会をスタート。09年『編みものこもの』を上梓し、ニットデザイナーとしてデビュー。「編んで楽しく、着てうれしい」をモットーに多数の本を出版。手編みニットブランド「気仙沼ニッティング」、編み物キットブランド「Miknits(ミクニッツ)」のデザイナーも務める。写真のニットは、現在発売中のMiknits。