弁護士 紀藤正樹さん(左):1960年生まれ。全国霊感商法対策弁護士連絡会で、旧統一教会など宗教被害者の救済に取り組む。著書に『マインド・コントロール』など/金沢大学教授 仲正昌樹さん:1963年生まれ。専門は法哲学、政治思想史。旧統一教会の信者だった体験を書いた『統一教会と私』の著書もある
弁護士 紀藤正樹さん(左):1960年生まれ。全国霊感商法対策弁護士連絡会で、旧統一教会など宗教被害者の救済に取り組む。著書に『マインド・コントロール』など/金沢大学教授 仲正昌樹さん:1963年生まれ。専門は法哲学、政治思想史。旧統一教会の信者だった体験を書いた『統一教会と私』の著書もある

仲正:家族の被害で言えば、旧統一教会が限界に来ていると私が感じるもう一つの点が、脱会したり、教団の活動から距離を取ったりする2世信者が多いことです。おそらく旧統一教会としては「2世の時代になったら教団の団結は強まる」と考えていたと思うのですが、この状況は予想外だったと思います。

紀藤:2世信者は確かに動揺しています。いまは、旧統一教会にしてみれば空襲警報が鳴っている時期。霊感商法の被害者だけでなく、信者の家庭の中で子どもたちが置かれている状況を考えると、早急に解決策を政府が提示しないと、かわいそうな子どもたちがどんどん生まれてきてしまう。現役信者の家族問題も含めて解決してほしいというのが、心からの願いです。

■「1世の信者も動揺する」(仲正)

仲正:1世の信者もマインドコントロールされているとよく言われますが、常にロボットのようになっているわけでもなく、当然いろんなことを考えている。テレビで批判されているのを見れば、「そういうふうに思うだろうな」と動揺するんです。1世信者も人の親であり、自分の子どもたちが「ついてきていない」場合は、当然それもわかっているでしょう。彼らが旧統一教会以外の「外の世界」のことを考える余裕が持てる機会を、なるべく多く、特に2世信者を中心に作ってあげられたら、彼らの「心の鎧」をほどきやすくなる。「2世信者の将来」と、(安倍元首相を銃撃した)山上徹也容疑者=殺人容疑で送検、鑑定留置中=のように「多額献金をしてしまった人の家族」のことをどう考えるのか。早急に解決策を探る必要があると思います。

(構成/編集部・小長光哲郎)

AERA 2022年9月5日号より抜粋