AERA 2022年8月15-22日合併号より
AERA 2022年8月15-22日合併号より

■力になり得る電通OB

──1業種複数社だと企業は独占供給しにくくなります。

「メリットが減る可能性はある。ただ、複数社になり『金さえ払えばスポンサーになれる』状況が生まれたことも確かです。もし1業種1社だったら、AOKIは競争に負けるかもしれない。でも、複数社なら『人とのつながり』で何とかできるかもしれない。20年来の付き合いがある高橋氏に『何とかなりませんか』となるのは十分にある図式だと思います」

──電通OBがそれほどの力になり得るのでしょうか。

「なり得ます。前提として、組織委と電通を分けて考えること自体難しい。組織委のマーケティング局などの中枢の多くが電通からの出向者で、傍目にも本人たち的にももはや『どっちの利益のために行動しているのかわからないポジション』。平たく言えば五輪は『電通のイベント』なんです」

「加えて、電通の本社ビルで社員のときからレストランを経営するような高橋氏の『影響力』を他の電通社員が知らないはずがない。AOKIとの間に入ってくれて、それで報酬が取れて今後の広告出稿にもつながるのなら、電通にすれば、OBのいいコネでいい商売ができた、というレベルの話でしょう」

──捜査に何を期待しますか。

「例えば組織委上層部が1業種複数社に決定した過程にも、高橋氏と同じように誰かが誰かとの個人的つながりで私腹を肥やす目的があった可能性はあり得ます。検察が本当はそっちを狙っているなら期待したいです」

(編集部・小長光哲郎)

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