認可保育園には、園児の年齢ごとに保育士の最低配置基準が決められている。国の基準は0歳児が園児3人に対し保育士1人(「3対1」)、1~2歳児は「6対1」、3歳児は「20対1」、4~5歳児は「30対1」だ。ただ、それでは不十分だと、1園当たり全国平均で約4人を多く雇っている(内閣府調査)。一方で、人件費は保育士の最低配置基準で計算された人数分で行政から支払われるため、基準以上に手厚く保育士を置けば1人当たりの賃金が低くもなる。だが、東京都が19年度に行った監査では、違反のあった保育園の半数近くで保育士の配置が適正でなかった現状もある。(ジャーナリスト・小林美希)

AERA 2022年8月8日号より抜粋

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小林美希

小林美希

小林美希(こばやし・みき)/1975年茨城県生まれ。神戸大法学部卒業後、株式新聞社、毎日新聞社『エコノミスト』編集部記者を経て、2007年からフリーのジャーナリスト。13年、「『子供を産ませない社会』の構造とマタニティハラスメントに関する一連の報道」で貧困ジャーナリズム賞受賞。近著に『ルポ 中年フリーター 「働けない働き盛り」の貧困』(NHK出版新書)、『ルポ 保育格差』(岩波新書)

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