東京都山岳連盟救助隊が作成した「奥多摩の山を楽しむための十カ条」。裏面には項目ごとの説明が書かれている
東京都山岳連盟救助隊が作成した「奥多摩の山を楽しむための十カ条」。裏面には項目ごとの説明が書かれている

 大切なのは、自分の体力や技術に合わせた登山。その上で、日帰りだとしても、何らかのアクシデントによって計画通りに進まなかった時などに必要となる備えが必要となる。

「レインウェア、ヘッドランプ、地図とコンパス、ツェルト(簡易テント)、包帯やホイッスルなどが入ったファーストエイドキット。それと、予備の食料と水です。携帯電話の予備バッテリーもあると安心です。低山でも必ずこれらを用意しておくのが、自分の身を守ることになります」(川瀬さん)

 先の加藤さんは4月、山の危険性を訴えるため、「奥多摩の山を楽しむための十カ条」と題したチラシを作り、登山者への配布を始めた。

 十カ条には、

「自分の登る山を知りましょう」

「登山計画書を提出しましょう」

「登山道は外れずに歩きましょう」

「奥多摩の危険を知りましょう」

「日頃より体力作りをしましょう」

 などが書かれている。加藤さんは言う。

「自分が登る山がどのような山であるのか、事前に地図やインターネットなどで情報を集め、備えをしっかりしておくことが大切。そして何より体力が大事。まずは日ごろからよく歩くこと。リュックサックに装備を入れ1日30分程度歩いたり、階段の上り下りをしたりして体に負荷をかけ、足腰の強化や持久力を養うなどトレーニングをしてほしい」

 備えあれば憂いなし。準備万端整えて、山の魅力を堪能したい。

(編集部・野村昌二)

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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