photo 写真映像部高野楓菜
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 DREAMS COME TRUEの5つの楽曲から5つの物語を紡いだドラマ「5つの歌詩(うた)」。中村正人さんと、脚本を手がけた渡邉真子さん、濱田真和さんが、語り合った。AERA 2022年7月18-25日合併号の記事を紹介する。

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――はじまりは2019年のライブ「ドリカムワンダーランド」だった。制作プロデューサーが偶然隣り合った親子の会話を耳にし、世代を超えて受け継がれていく曲の世界観をドラマにできないかと考えたという。

中村正人(以下、中村):企画をいただいたとき、「単なる曲の再現ドラマだったらつまらないな」と思ったんです。でも脚本家の岡田惠和さんが総監修をされ、濱田さん、渡邉さんと一緒にまったく別の世界を作ってくださった。しかも王道の「未来予想図」とかではなく地味な曲も選んでくれて、なんと商売っ気がないんだろうと(笑)。

渡邉真子(以下、渡邉):私も「ドリカムさんは何て心が広いんだろう!」と思いました(笑)。自分たちの子どものような歌を、私たちに預けてくださるなんて、と。

濱田真和(以下、濱田):何百曲もの中から選ばせていただいたんです。ワクワクしつつも、最初はどれを聴いてもプレッシャーばかりが募ってしまって。

中村:僕はここ10年ほど吉田美和の詩を我々の楽曲から引き離す作業をしてきたんです。吉田の詩は歌うために書かれてきたけれど、デビューから33年を経て「詩」だけで伝わるものがあるなという思いが強くなって、言葉を抜き出した書籍を作ったりもした。だから今回も「よくぞ歌から歌詩を引っぺがしてくれた!」と。

■今でも胸が詰まる

濱田:僕は「何度でも」と「マスカラまつげ」を選ばせていただいたのですが、以前、中村さんが「ドリカムはキャッチーで前向きなイメージだけど、実はダークな一面がある」とおっしゃっていたことが心に残っていて。「何度でも」のイントロのベース音の鼓動のイメージや、人間らしさみたいなものからストーリーを膨らませました。

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