■世界は緩和、日本は

 韓国も5月2日、屋外でのマスク着用義務が解除された。ただし、屋内や50人以上が集まる屋外の集会などは着用が義務付けられている。

 一方、日本では岸田文雄首相が12日の参院厚生労働委員会で「基本的予防策としてマスクの着用は極めて重要」と強調し、屋外については「人との距離が十分取れれば必ずしも必要でない」と述べた。

 日本の「マスク着用義務撤廃」の日は来るのか。公衆衛生学や感染症政策を専門とする関西大学社会安全学部教授の高鳥毛敏雄さんは言う。

「日本は、国民も事業者も、国が自分たちを守って当たり前という考え方が強い。一方、欧米は『国や行政に規制されたくない。自分たちの身は自分たちで守るものだ』という意識が強く、マスク着用義務の撤廃後、感染者が増えたとしても、政府を批判することにはならない」と指摘。その上で「『欧米がマスク着用義務終了となったから日本でも』とはならないでしょう。今後は、政府はメディアの報道と国民の反応を見ながら、一律にマスク着用しなくてよいという方針を出し、それも丸投げではなく、専門的な知識を持った人がマスクの着用を必要とするいくつかの具体的なポイントを出すべきです」と話す。(ライター・羽根田真智)

AERA 2022年5月30日号より抜粋