「買い物はスマホで済ませるような若い世代も利用してくださっています。資産運用は友人にも相談しにくいですよね。でも、相手が金融機関だと話せてしまうのでしょうか」

 ここで意地悪な質問をした。コスト競争が一段と激化し、信託報酬と呼ばれる運用手数料が年0.1%(税込み、以下同)を切る投資信託が幅を利かせている一方、ウェルスナビの手数料は年1.1%。高いのではないか? 

 牛山さんは投資信託のコスト低下を「喜ばしいことです」と歓迎する。

「ロボアドが提供するサービスは従来富裕層向けだった投資一任サービス。投資信託は最適なポートフォリオを作るパーツの一つです。

ロボアドは、無数にある投資信託をうまく使いこなすために存在しています。長期運用に最適なポートフォリオを作り、資産バランスや税金面まで継続的に調整します」

 日本人がネット証券から気軽に投資しづらいものも組み入れられている。

「年齢を重ねて顧客の経済状況も変わっていくでしょう。それに合わせたアドバイスも最後まで提供します」

 ウェルスナビの手数料は超低コストの投資信託に比べれば高いが、資産運用を丸ごと世話してくれると思えば安いのかもしれない。運用判断をしたくない、すべて任せたい人に向く。一定のニーズはあるだろう。

「世の中にあふれる情報がすべて織り込まれて今の株価があります。そこから『上がる、下がる』は予想できないというのが金融工学の大前提。

でもリスクに備えることはできます。相場がどの方向に動けばどんなリスクがあるかを分析すれば、リスクを最小化したポートフォリオを構築できるはずです」

 世の中にはプロ顔負けの運用巧者がいる。数百億円規模の財産を築いたトレーダーもいる。究極のところ、投資が上手なのは人間か、AIか。牛山さんはおもしろい表現をした。

「そもそも、人間の脳は投資には向いていません」

 感情面の話である。

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