奥深い収納は棚の手前を切り“ウォークイン”に。夫の行動力の賜物
奥深い収納は棚の手前を切り“ウォークイン”に。夫の行動力の賜物

 夫が自室にこもりがちな理由が明らかに。ソファはゆくゆく買い換えるつもりです。

 もちろん1番の勝因は、ななさんが率先して片づけはじめたこと。言い訳ばかりでやらない人と自ら切り開く人、どちらに心を動かされるかと聞かれたら後者でしょう。

 部屋がスッキリしない理由は、不要な物が多いことだとわかりました。収納はギチギチでストック品も多く、使う物をしまう場所もなかった。徹底的に減らしました。

「毎日、毎日、同じ引き出しを開けるたび、昨日は必要だった物が今日は要らなくなったりするんです。本当に不思議で。なんで置いていたか思い出そうとしても思い出せないんです」

 ゆとりの生まれた引き出しを夫に見てもらうと「えーっ」と驚いていたとか。そして「物が多いんだな」とやっと気づいて、ぐちゃぐちゃの引き出しの衣類を処分しはじめた。夫が物を捨てられるようになったきっかけは妻の行動でした。

 2階問題は、片づけの先輩の部屋が参考になりました。プロジェクトには少し前に終了した先輩がサポーターとして参加しています。

「同じくらい昭和な家に住んでいるサポーターさんの部屋の写真を見たとき衝撃を受けて。古くても収納が少なくてもこれだけすっきりと気持ちよく住めるんだなと。これまで部屋のイメージができなかったけど希望が見えました」

 思い込みを捨て収納をつくり、ななさんお気に入りの衣装部屋が完成。今ではそこで学校の役員の書類仕事をするくらい集中でき、何かと階段を上がりたくなる空間になっているそうです。

どうすればいいかわからなかったキッチン/ビフォー
どうすればいいかわからなかったキッチン/ビフォー
収納のストック品などを見直して出ている物を最小限に/アフター
収納のストック品などを見直して出ている物を最小限に/アフター

 夫婦関係も希望だらけです。

「夫とは会話が増えました。私の接し方はまだまだですが。大工仕事をやってくれたとき、精一杯でかけた言葉が『ようやったな』(笑)。『パパすごーい、ありがとう!』とか言えたらよかったんですけど。でもちょっと照れていました。深い話もできるようになりました。学びたいことがあるので相談したら『僕も好きなことさせてもらったしやってみたら?』と背中を押してくれたんです」

 最後まで「夫はそこまで嫌なヤツじゃなかったんです。まだ言うかって感じですけど(笑)」とななさん。講座の最終日は、久しぶりに夫が駅まで迎えにきてくれたと、驚き半分、嬉しさ半分の表情で話してくれました。

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西崎彩智

西崎彩智

西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。

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