タンスは一つ処分して収納を設置。暮らしにあった部屋に/アフター
タンスは一つ処分して収納を設置。暮らしにあった部屋に/アフター

 ななさんは片づけられない自分に潜在的な罪悪感がありました。およそ築40年の家の2階はリフォームせず昔のまま、愛着がなく活用の仕方もわからない。キッチンはL字型なのに、なぜ食材を切るスペースがこんなに狭いのか。夫の物がいろんな部屋にあって思考停止。環境や家族のせいにしている自分はもっと嫌。そのような折、家庭力アッププロジェクトに参加したのです。

 45日間で家をまるごと片づけ終えると、数年来の後ろめたさから解放されたとか。

 驚いたことに夫の態度も変わりました。物を運んでいると夫が「持とうか?」とサッと持ってくれる。また何年か先だろうと諦め半分に頼んだ大工仕事は、仕事から帰るとすぐにやってくれた。「そこまで嫌なヤツじゃなかった」と、感謝の気持ちがわいた。

 先日も驚いたことがありました。

「夫の部屋に書類を取りに入ったら、ゴミ箱にゴミがいっぱいあるのを発見したんです。これまで物を捨てられない夫のゴミ箱はいつも空だったのに、びっくりしました。

 ななさんは何をしたのでしょうか?

「夫に対しても子どもに対しても、私はこうしたいねんけど、どう思う?と意見を聞いたんです。勝手にやっていたみたいな自分がいたと気づいて。子どもは自分で決めたことは続けてくれるし、夫も自分からは動かないけど、何日ならやってくれる?とアポを取ると動いてくれるとわかりました。これまで、そこをすっ飛ばしていたんですね」

 部屋のゴールを見つけるため、ファシリテーター役に徹したことが功を奏しました。家族それぞれがこうありたいと思う部屋を宣言すると、みんなの気持ちが未来の家に向きました。ななさんは家族のベクトルを見事に合わせたのです。

「おとなしい夫の本音も聞けて、夫はソファでゴロゴロとしたいことが判明しました。リビングには親戚から譲り受けた某有名メーカーの小ぶりで枠が木製のカチカチのソファを置いていたんですが、夫は前の柔らかくて寝られるソファがよかったんです。『ええーっ!その時に言いや、口付いてるねんから』と衝撃的で。いつの話やと。あのチープなソファが正解だったとは」

次のページ
不思議と引き出し開けるたびに物が不要に