近藤麻理恵(こんどう・まりえ)/1984年、東京生まれ。独自の片づけ法「こんまり(R)メソッド」を編み出す。著書『人生がときめく片づけの魔法』は世界40カ国以上で翻訳。2015年、米「TIME」誌で「世界でもっとも影響力のある100人」に選出された(写真:中央公論新社)
近藤麻理恵(こんどう・まりえ)/1984年、東京生まれ。独自の片づけ法「こんまり(R)メソッド」を編み出す。著書『人生がときめく片づけの魔法』は世界40カ国以上で翻訳。2015年、米「TIME」誌で「世界でもっとも影響力のある100人」に選出された(写真:中央公論新社)

 AERAで連載中の「この人この本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。『おしゃべりな部屋』は、近藤麻理恵さんの著書。自身が手がけた1千以上の部屋の実話をもとに、映画プロデューサー・小説家の川村元気さんが紡ぐ七つの部屋の物語。片づけを手伝うミコにはモノの声が聞こえる能力があり、相棒のボクスと依頼人の悩みを解決していく。ノウハウも分かる実用的な小説だ。近藤さんに、同書にかける思いを聞いた。

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 家の片づけを手伝うことを仕事にしているミコがさまざまな依頼人と出会い、その片づけの伴走者となる物語『おしゃべりな部屋』。世界中に多くのファンを持つ片づけコンサルタントの近藤麻理恵さん(37)の経験をもとに、これまで様々な小説を発表してきた映画プロデューサーの川村元気さんが執筆した。

 子育てが終わった女性や夫婦の片づけ、親からの自立、終活などのテーマが取り上げられている。「片づけの“あるある”というか、あらゆる人の琴線に触れるようにすることにこだわりました」と近藤さんが語る通り、誰もが共感できるようなエピソードが満載。だんだん自分も片づけたいという気分になってくる。

 ときめきを感じるものだけを残す片づけ術「こんまり(R)メソッド」で知られる近藤さんだけに、本の仕上がりにもときめきを重視した。

「こんまり(R)メソッドは触った時にときめきを感じるかどうかというところをとても大事にしているので、手触りも含めて中身を読む前にまずモノとしてときめくエネルギーを出すようなデザインにしていただきました」

 その言葉通り、表紙には微妙な凹凸があり触り心地がとてもいい。絵本作家、大桃洋祐さんのイラストも色も小説の雰囲気にぴったりだ。

 その表紙にも登場している主人公ミコの相棒、おしゃべりでちょっと口の悪い小箱のボクスが物語をファンタジックに彩っている。二人の姿はNetflixなどの番組で見かける、箱を持って登場する近藤さんそのもの。そしてその会話は、普段のモノと会話しているとしか思えないような近藤さんの様子をとても上手く表現している。

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