「国語はもともと読解力を試すテストなので、共通テストに代わっても要求される力は変わりません」(出口さん)

 とはいえ、傾向がわかっていても点が取れそうで取れないのが国語だ。文章は読めたつもりなのに、どの選択肢を選べばいいか悩んだり、自信を持って選んだ答えが間違ったりしたことがある人は多いだろう。

「ほとんどの生徒たちは読解力ゼロです」

 出口さんは手厳しい。

「現代文の問題では、筋道や論理を追えばおのずと答えは出ますが、ほとんどの生徒が読み取った情報を整理できず、文章が長いほど頭の中がカオスになる。でも、やっかいなのは選択肢があるのでなんとなく点が取れてしまい、自分が理解していないことに無自覚なことです」

SNS全盛で自分の欲する情報ばかりに触れる現代。多様な意見を理解して発信するには読解力がますます必要だ(代表撮影)
SNS全盛で自分の欲する情報ばかりに触れる現代。多様な意見を理解して発信するには読解力がますます必要だ(代表撮影)

■初見の文章に触れる

 そう言われれば、記者の受験生時代もそうだった。読解力を身につけるためにはどうしたらいいのか。出口さんは二つのステップが必要だと指摘する。

「読解力は本を読めば自然とつくものではありません。まず、論理を意識して文章を読み、筋道を立てた文章を書く訓練をすること。次に初見の文章をたくさん読むことです。今の生徒たちは、ゲームやYouTubeなど娯楽が増えて読書量が減っている。教科書も先生の説明を聞いてから読むので、初見の文章に触れる機会が少ないんです」

 具体的には2種類の参考書・問題集を用意する。論理的な読解や解法を学ぶ参考書と、問題や解説がたくさん載っている問題集だ。出口さんは続ける。

「まず論理を学んでフォーム固めをし、そのあと打ち込み練習のように、問題集で初見の文章にたくさん触れる。解いている途中で論理が怪しくなったらフォーム固めに戻る。こうすることで論理的読解力は鍛えられます」

 ポイントは問題集を繰り返し解くことだ。2回目以降は解答を覚えているかもしれない。それでも問題文を見たときに、解説を頭の中で再現できるかどうかが重要とのこと。自分で答えの導き方を説明できるまで繰り返しやってほしいという。

(編集部・深澤友紀)

AERA 2022年4月4日号より抜粋